BAN&PICKを理解する
競技シーンを見ることやコミュニティの大会が開催されることでBan&Pickに触れることが多くなってきているあなたへ
どうもこんにちは、今回は珍しくリクルートです。
最近はありがたいことに解説のお仕事をいただけていたのでそちらに全力を注いでいた+大学が忙しかったということもあり記事に手を回せていなかったのですが一通り区切りがついたので書くに至りました。
かなり長くなってしまったのでまとめに一応大まかな概要は載せたのでお時間ない方はそちらのみでもどうぞ。
また、Ban&Pickをもとから知っている方にとっては物足りない内容になっていると思うので、実践編としてプロのBPを紐解いてみるところも載せておきました。
よければそちらをご覧ください。
では見ていきましょう。
突然ですが最近かなりコミュニティーの大会が多くなってきていますね。近々LogicoolGCUPなんかも予定されてますね。1LOLファンとしてはとても嬉しい傾向ですし、このまま増加して行ってくれればなと思ってます。
ただやっぱりそういった中で最初に躓くのがBan&Pick(以降BPと記載します)の部分なのかなって思うんですよね。私の知り合いの間でもBPがわからないという声をちらほら耳にします。
普段プレイしていてノーマルやアラムなんかではそもそもブラインドピックで系統がちがいますし、ソロキューでもBanできるのは1体のみで毎回ピック順が違いますから少し特殊ですよね。
そういった面でスクリムなんかを頻繁にする方だったり、競技シーンをよくチェックしたりしている方でなければBPどうやってすればいいの?って聞かれたときにパッとしない部分が多いんじゃないでしょうか。
今回の記事では、フレックスキューを回す方、これからコミュニティー大会に出る方、もう出てる方、競技シーンに少しでも興味がある方、そういった方々の助けになればという思いのもと書いています。
また、これは
ということを言わせてください。この記事はBPに対する一意見であって、私とはまったく違う方法や考え方に基づいてBPを行って成功を収めている方もたくさんいます。
これから書くことは私が競技シーンを見て自分なりにかみ砕いたものであり、また自分がBPを実際に行ってきた経験則からのことが多いので、物足りない、間違っているんじゃないかっていう部分もあると思います。
ただ、BPに対してそういう考え方もあるんだなと、一つの考え方として飲み込んでいただけると幸いです。
まず最初にBPとはっていうところから入っていこうと思います。
まずLoLには今回説明するBPフェイズと実際にゲームを行うフェイズがありますが、基本的にゲーム内で行われる行動の多くはこのBPフェイズで決まっているといっても過言ではありません。
もちろん意図的にそれを崩しに来るチームやゲーム展開もありますが大体の場合はBPで決まったことに沿ってゲームが進んでいきます。
すなわちBPフェイズでは
お互いのチームがやりたいゲームの展開を宣言し合っている
といえます。
裏を返せばその展開通りにゲームが進んだ時、その展開で有利なチャンピオンや構成をピック出来ている方が勝つ可能性が高いといえるわけですね。
まとめると、
BPではゲーム展開を決めたうえでその展開に沿った強いチャンピオンを取り合っている
といったフェイズになっています。
ではここからは実際のBPと同様にBanフェイズから進めていきたいと思います。
まず二つあるうちの一つ目、最初の3Banについて話していきます。
先述の説明に沿っていうなれば、このBanフェイズではイメージでいうと"こういう展開にしたいからこのチャンピオンはピックしないでね!"という意思表示の段階になっています。
例えばキャッチを意識してやをピックしようとしているとしましょう。そういう時に相手にがいるとWで救出されてしまってうまくいかなそうですよね?
そんな風に自分たちがやりたいゲーム展開に対してとられるとカウンターの要素になりえるチャンピオンたちの中でPickされる可能性が高いものをBanしていく、これがファーストBanフェイズの役割になります。
続いてセカンドBanフェイズでの考え方についてです。
考え方はファーストBanフェイズと変わりませんがすでに6体Ban,6体Pickの計12体消えていることから該当するチャンピオンが見つからない、もしくは該当してもPickされる可能性が極めて低い、そういったケースが多くなってきます。
例えばエンゲージ要素を消したいとなった時にというチャンピオンが一つ候補に挙がることはあるかもしれませんが、今のメタ的に見てもそこまで脅威にはなりえないのでBanすることは少ないですよね。
なのでそういったチャンピオンは放置しておくことのほうが多いです。
そういう時に残っている2レーンを見てピックされる可能性が一番高いチャンピオン、もしくは自分たちがピックした、またはピックするチャンピオンに対するカウンターを消していく。
これがセカンドBanフェイズでよく考えられている事柄だと思います。
Banで重要なのはとにかく
いよいよPickのお時間です。
これから自分たちのやりたいゲーム展開を宣言していくわけなのですが、注意しなくてはいけないことがあります。
それは自分たちのやりたいゲーム展開を隠すことです。
脳内で?ピンが大量になっている状態だと思うので先ほどの例でもう一度考えてみます。
キャッチ構成をしたい、ここで仮にをファーストピックしたとしましょう。
するとそれに対して相手からやのようなチャンピオンをカウンターで出されてしまいました。
彼らはのultのキャッチを無力化できる強力なスキルを兼ね備えていますからせっかくを最初にピックしたのにうまくゲームを進められないことが容易に想像できます。
どうしても最初のBanで消せるのは3体までですから先に自分の構成の核となるチャンピオンを抑えるとカウンターをとられてしまってうまくいかなくなってしまいます。
またチャンピオン同士だけでなく構成全体でカウンターをとられるケースがあります。
例えばプロテクトADC構成をとったとします。
この構成はADCをとにかく長い時間守ってダメージを出させる構成なのでレイトゲームキャリーとディスエンゲージやピールに長けたチャンピオンを多く用意するのでよくエンゲージ要素が不足しがちという風に言われています。
そこに対してや、、などを組み込んだポーク構成を当てられてしまうとかなり苦しい試合展開を強いられてしまうことになるでしょう。
以上のことからなるべく自分たちがやりたいことをうまく隠せた方がよりPickがうまいといえるわけです。
ではどうすれば隠せるのか、
それは沢山の役割をもったチャンピオンから先にピックすること
これで解決します。
もう一度キャッチ構成の例に立ち返ってみます。
今度はをファーストでとったとしましょう。
はUltのCCが非常に強力でキャッチ構成に組み込まれることもありますが、一方でWによるDPSとultのCCを生かしたカイト構成だったりプロテクトADC構成、さらには長射程のQを生かしたポーク構成など多種多様な構成を選択することができます。
このようにを見ただけではどのようなゲーム展開を相手が作ってくるか皆目見当がつかない、すなわち自分たちのやりたいゲーム展開を隠せたわけです。
つまり最初の1,2チャンピオンはできるだけ柔軟性の高いピックをしておいて構成を隠しておくとセカンドBanフェイズに自分たちの取りたいチャンピオンが消されずに済みます。
後は相手がピックしたチャンピオンに対してカウンターを当てることを意識するとより自然な形になって構成が絞られづらくなります。
セカンドピックフェイズにさえ移ってしまえばこちらのものです。
やりたい放題自分たちのやりたいゲーム展開に沿ったチャンピオンをピックしてやりましょう。もはや相手が取れる対抗策はチャンピオン1,2体のピック、恐るるに足りません。
では以上のことを踏まえながら実際に競技シーンではどのようなBPの進め方をしているか見ていきましょう。
試合動画↓
これはNA LCS SummerのQuarterfinals、Echo Fox vs TSMの1戦目の様子です(パッチは8.16)
今回はTSMサイドに立ってBPの流れを見ていきます。
まずざっくりとした今回のドラフトの状態を説明します。
このBPではTSMサイドが用意してきたバックラインへと強引に飛び込むハードエンゲージ、ダイブ構成に対してFOXがカウンターでカイト構成を取ろうとしたが間に合わなかった、大まかに説明すると以上のようなBPになります。
①ファーストBanフェイズ
このフェイズでは基本的に今のメタでOPと呼ばれるチャンピオンをBanします。
え?さっきと話が違うじゃないか、と思われる方も多いと思いますので説明すると、OPチャンピオンというのはどの構成にも合いやすく、なおかつカウンタープレイやカウンターチャンピオンが少ない、またはないチャンピオンのことです。
すなわち自分たちから先手を取って行動する際にOPチャンピオンが相手にいるだけで強引に状況を覆されてしまう可能性があります。
これらのことは先ほどのBPの基本部分で述べた、自分たちのやりたい構成に対してカウンターとなるチャンピオン、最初のピックは構成を隠すこと、これら二つを同時に消し去ることができて一粒で二度おいしいというわけです。
実際のBanを見てみると以外はかなり今メタに上がってきているチャンピオンたちですよね。
は先ほど説明したような柔軟性が高いチャンピオン、加えてLostが最も使用していて調子がいいチャンピオンであること。
はファーストでとられたときに対応にを取らされてしまうこと、はカイトは強いですが飛び込んでいくのはあまり得意としていません。
をとりあげなければBotの主導権を完全に渡してしまうことになり上手く試合を運ぶことが難しくなってしまいますからこれは当然のBanといえるでしょう。
は強力ですがOPというほどではない、これはDemonteがをかなり得意としていること(今シーズン4勝1敗と好成績)、そしてEのディスエンゲージが強力であることを考えて取られると面倒だと考えたというわけです。
こういったメタに上がってきていない相手の得意チャンピオンをBanすることをターゲットBanと言って少し定石から外れたBanになりますが、場合によってはとても有効な一手になりえる作戦です。
簡単に言えばそのチャンピオンをある選手に使わせるととんでもないパフォーマンスを発揮されてしまって思うように試合を進めることができない可能性があるとき、こういう時に使用されます。
②ファーストPickフェイズ
ここからPickに入っていくわけですがTSMは意図的にあるOPチャンピオンを開けました。それはです。
もともとは涙が完成するまでは少し影響力に欠けますが、完成して以降は素早いウェーブクリアとWの対象指定のスネアやEQのバーストもあり少数戦強力ですし、ultでのサイドロームも強い、加えてレイトゲームのDPSも期待できる、どんな構成にも組み込みやすい強力なチャンピオンになっています。
そして電撃が8.16でナーフされたことから以前から強力だったのに、さらに安定感が増してファーストピックの最有力候補まで上り詰めたわけです。
ですがブリンクのないでは全員が相手の懐に飛び込んでいくダイブ構成に対して、Wで一人止めることはできても他のチャンピオンに押しつぶされてしまうことが容易に想像できますから、TSMはをあえて開けて取らせたわけですね。
そしてTSMはとを抑えました。
この2体はともにバックラインへ飛び込んでいくことに優れているほか、
はEのステルスと移動速度アップでカイトが非常に強力で、はタンク能力はもちろんのこと、ultのキャッチも強力ですから両者ともに柔軟性の高いピックになっているわけです。
そしてFOXとしてはこれらのカウンターである、を抑えました。
がキャッチに強いところを見てのWの救出がある、もへのレーンでのカウンターとしてのピックです。
ただTSMはFOXのPickをまた制限していました。を見せたことによりそのカウンターを一つ意識させたわけですね。JGでいえば、SUPでいえばやあたりがセジュアニに対して回答を持っていますが、に関してはピラーでディスエンゲージしきるのは難しいですし、SUPの二人は一人守るので精一杯ですから全員でダイブする構成を目標にしているTSMにとっては苦にならないわけです。
そしてTSMは構成の核であるをここで抑えました。
これはまだがTOPに行くかMIDにいくかわからないというネクストBANフェーズで相手にゆさぶりをかけるためでもあります。
③セカンドBanフェイズ
さらにここでFOXはをとったことによって自分たちでという強力なディスエンゲージツールをBanせざるを得なくなっているところにも注目しなければいけません。
このセカンドBanでは先ほど言ったのカウンターのをBanしながら集団戦以外のところで差をつけられるという強力なスプリットプッシャー兼キャッチャーをBanしました。
④セカンドPickフェイズ
そしてTSMはを先に取ることでまだの行くレーンを隠します。
これに対していよいよ相手のエンゲージがすさまじいということでディスエンゲージ手段を用意するためを一つ抑えました。そしてタンクラインを支えられるという安定したピックをTOPでとりました。
これもをどこに行くか隠したことから安定ピックをとらざるを得ない部分が出ていますよね。
そして最後にそのに対してカウンターをとりつつメガ状態でのバックラインへ強力なプレッシャーをかけられるをピックすることに成功しました。
ここまで一つ一つかなり長く説明してきましたが、結局のところFOXとしては最初の3ピックをほぼTSMのやりたいようにとらされてしまっているわけですからTSMとしては自分たちのやりたいゲーム展開に弱いチャンピオンたちをまんまと取らせることに成功したわけですね。
FOXも後の2ピックでうまくカウンターを用意しましたが、すでに3ピック消えてしまっているような状態ですからどうしようもありません。
自分たちの勝ち方をしっかりと研究し、相手のBPを誘導するようなBPを組み立てる。
私が組み立てたわけではないのでどこまで彼らの意図をくみ取れたかはわかりませんが、これだけでもかなりの駆け引きが行われていることがわかりますね。
プロのBPをみて高まってきたところで実際にBPをやってみましょう!
ここではBPをするにあたっての注意点をまとめてみます。
本当にこれは大事なことで、BPを決められる時間はせいぜい30秒から1分程度しかありませんからより良いBPを組み立てるには時間が絶対に足りないですよね。
さらにその場でBPを組み立てると自分たちが考えていた構成からずれることが多々あります。
レーンでのカウンターを意識してしまったばかりに自分たちの欲しいものとは違うチャンピオンをとってしまうことなどイレギュラーがよく発生するものです。
競技シーンではほぼすべてのチャンピオンをピック出来ることもあってその場で改善していくことも可能ですが(可能なだけでほとんどのパターンを予想してきています)使えるチャンピオンが限られていたり、BPに慣れていない状態でそれをしてしまうと時間Overになったりいい構成ができなくなったりしますので、自分のだけでなく相手のピック予測も含めて絶対に準備しましょう。
長期的に見ればもちろんチャンピオンプールを増やすのは大事なのですが、短期間でチャンピオンプールを増やすのは相当苦しいです。ですからプールを広げてもらうのではなく、今使えるチャンピオンで取れる構成を考えるのが重要です。
どんなチャンピオンにもそれぞれ特徴的な部分、秀でている部分は一つは必ずありますから、それを5つそろえるだけでも形になります。
例えば上から、、、、みたいなチャンピオンたち。
過剰にも見えますが尖っている方がコミュニティー大会だと割とやりやすいのかなと思います。
競技シーンになってくると相手へのカウンターを意識したりイレギュラーへの対応も必要です。さらにBPでカウンターをとられないようにというところもありますから、できるだけ役割を持てるチャンピオンをピックするわけですが、短期的なチームであれば特徴を過剰に尖らせた方が連携も少なく済みますし対策を取られたとしてもごり押せることはあります。
もちろん尖っていてそれしかできないという欠点はありますが…
これ結構重要なのに忘れられがちなのですが、BPが一通り終わって60秒準備段階、ロード画面中にしっかり自分たちの構成は何に強い構成にしたのか、相手はどんな特徴を持った構成なのか、どの時間帯から自分たちはアクションを起こせるのか、どのレーンから仕掛けるのか。
そういった細かいゲーム展開を確認しましょう。
BPの基本のところでも言った通り、そのあたりのゲーム展開の好手はBPに沿って動いていくことが多いです。
逆にその流れに沿わないと相手のほうが強い時間帯で当たってしまったり、思うように仕掛けられなかったりと不具合が起きる可能性が多いわけです。
ですから試合が始まる前にしっかりメンバーの間で打ち合わせしておきましょう。
かなり長く書きすぎてしまったなと思うので最後に要点をまとめておきたいと思います。
①BPはゲームの展開を決める大事なフェイズ!試合の有利不利はここで決まる!
②Banは自分たちの構成にとって苦手なチャンピオンを消そう!でも大体はそれがOPチャンプと重なるぞ!
③最初のPickは自分たちの構成がばれないようになるべく柔軟性の高いチャンプを選ぼう!
④セカンドBanでは自分たちが取った、もしくはこれから取るチャンピオンのカウンターをつぶそう!
⑤3ピック以降あたりで構成の核、足りない要素を埋めていこう!これらはカウンターをとられやすいチャンピオンが多いぞ!
これくらいでしょうか。
もちろんBPを見ていくうち、やっていくうちにこれに当てはまってないと感じるものも多く発生してきますし、実際これからわざと外れることによって相手のプランを崩すこともあります。
BPでゲーム展開を決めたといっても試合中にそれを自分たちから崩すプレイもあったりLoLは本当に多様性に富んだゲームなのでこれは一つの指標だと思っていただいた方がいいのかなと思います。
もちろん勝敗を直に決定づけるのはインゲームなのですがそのやりやすさを決めるのは間違いなくBPですから決して軽んじることなく向き合っていってほしいなと思います。
私自身BPが競技シーンを見るうえで面白さの上位に食い込んでくる部分だと思っているのでこの記事で少しでも面白さが伝わればいいなと思った次第です。
ここまで長々とお付き合いいただいて本当にありがとうございました!
少しでもこれからのLoLライフの一助になれば幸いです。
また、拡散などしていただけるととてもうれしいです()
次回はおそらくLJLCSの入れ替え戦あたりの記事を書こうと思っているのでそちらもどうぞよろしくお願いします!
それではまた!
最近はありがたいことに解説のお仕事をいただけていたのでそちらに全力を注いでいた+大学が忙しかったということもあり記事に手を回せていなかったのですが一通り区切りがついたので書くに至りました。
かなり長くなってしまったのでまとめに一応大まかな概要は載せたのでお時間ない方はそちらのみでもどうぞ。
また、Ban&Pickをもとから知っている方にとっては物足りない内容になっていると思うので、実践編としてプロのBPを紐解いてみるところも載せておきました。
よければそちらをご覧ください。
では見ていきましょう。
はじめに
突然ですが最近かなりコミュニティーの大会が多くなってきていますね。近々LogicoolGCUPなんかも予定されてますね。1LOLファンとしてはとても嬉しい傾向ですし、このまま増加して行ってくれればなと思ってます。
ただやっぱりそういった中で最初に躓くのがBan&Pick(以降BPと記載します)の部分なのかなって思うんですよね。私の知り合いの間でもBPがわからないという声をちらほら耳にします。
普段プレイしていてノーマルやアラムなんかではそもそもブラインドピックで系統がちがいますし、ソロキューでもBanできるのは1体のみで毎回ピック順が違いますから少し特殊ですよね。
そういった面でスクリムなんかを頻繁にする方だったり、競技シーンをよくチェックしたりしている方でなければBPどうやってすればいいの?って聞かれたときにパッとしない部分が多いんじゃないでしょうか。
今回の記事では、フレックスキューを回す方、これからコミュニティー大会に出る方、もう出てる方、競技シーンに少しでも興味がある方、そういった方々の助けになればという思いのもと書いています。
また、これは
"私のBPに対する考え方"であって必ずしも"答え"ではない
ということを言わせてください。この記事はBPに対する一意見であって、私とはまったく違う方法や考え方に基づいてBPを行って成功を収めている方もたくさんいます。
これから書くことは私が競技シーンを見て自分なりにかみ砕いたものであり、また自分がBPを実際に行ってきた経験則からのことが多いので、物足りない、間違っているんじゃないかっていう部分もあると思います。
ただ、BPに対してそういう考え方もあるんだなと、一つの考え方として飲み込んでいただけると幸いです。
そもそもBPって何をしてるの?
まず最初にBPとはっていうところから入っていこうと思います。
まずLoLには今回説明するBPフェイズと実際にゲームを行うフェイズがありますが、基本的にゲーム内で行われる行動の多くはこのBPフェイズで決まっているといっても過言ではありません。
もちろん意図的にそれを崩しに来るチームやゲーム展開もありますが大体の場合はBPで決まったことに沿ってゲームが進んでいきます。
すなわちBPフェイズでは
お互いのチームがやりたいゲームの展開を宣言し合っている
といえます。
裏を返せばその展開通りにゲームが進んだ時、その展開で有利なチャンピオンや構成をピック出来ている方が勝つ可能性が高いといえるわけですね。
まとめると、
BPではゲーム展開を決めたうえでその展開に沿った強いチャンピオンを取り合っている
といったフェイズになっています。
Banフェイズの基本
ではここからは実際のBPと同様にBanフェイズから進めていきたいと思います。
まず二つあるうちの一つ目、最初の3Banについて話していきます。
先述の説明に沿っていうなれば、このBanフェイズではイメージでいうと"こういう展開にしたいからこのチャンピオンはピックしないでね!"という意思表示の段階になっています。
例えばキャッチを意識してやをピックしようとしているとしましょう。そういう時に相手にがいるとWで救出されてしまってうまくいかなそうですよね?
そんな風に自分たちがやりたいゲーム展開に対してとられるとカウンターの要素になりえるチャンピオンたちの中でPickされる可能性が高いものをBanしていく、これがファーストBanフェイズの役割になります。
続いてセカンドBanフェイズでの考え方についてです。
考え方はファーストBanフェイズと変わりませんがすでに6体Ban,6体Pickの計12体消えていることから該当するチャンピオンが見つからない、もしくは該当してもPickされる可能性が極めて低い、そういったケースが多くなってきます。
例えばエンゲージ要素を消したいとなった時にというチャンピオンが一つ候補に挙がることはあるかもしれませんが、今のメタ的に見てもそこまで脅威にはなりえないのでBanすることは少ないですよね。
なのでそういったチャンピオンは放置しておくことのほうが多いです。
そういう時に残っている2レーンを見てピックされる可能性が一番高いチャンピオン、もしくは自分たちがピックした、またはピックするチャンピオンに対するカウンターを消していく。
これがセカンドBanフェイズでよく考えられている事柄だと思います。
Banで重要なのはとにかく
自分たちにとって何をピックされるのが嫌なのかを明確にすること
ですね。Pickフェイズの基本
いよいよPickのお時間です。
これから自分たちのやりたいゲーム展開を宣言していくわけなのですが、注意しなくてはいけないことがあります。
それは自分たちのやりたいゲーム展開を隠すことです。
脳内で?ピンが大量になっている状態だと思うので先ほどの例でもう一度考えてみます。
キャッチ構成をしたい、ここで仮にをファーストピックしたとしましょう。
するとそれに対して相手からやのようなチャンピオンをカウンターで出されてしまいました。
彼らはのultのキャッチを無力化できる強力なスキルを兼ね備えていますからせっかくを最初にピックしたのにうまくゲームを進められないことが容易に想像できます。
どうしても最初のBanで消せるのは3体までですから先に自分の構成の核となるチャンピオンを抑えるとカウンターをとられてしまってうまくいかなくなってしまいます。
またチャンピオン同士だけでなく構成全体でカウンターをとられるケースがあります。
例えばプロテクトADC構成をとったとします。
この構成はADCをとにかく長い時間守ってダメージを出させる構成なのでレイトゲームキャリーとディスエンゲージやピールに長けたチャンピオンを多く用意するのでよくエンゲージ要素が不足しがちという風に言われています。
そこに対してや、、などを組み込んだポーク構成を当てられてしまうとかなり苦しい試合展開を強いられてしまうことになるでしょう。
以上のことからなるべく自分たちがやりたいことをうまく隠せた方がよりPickがうまいといえるわけです。
ではどうすれば隠せるのか、
それは沢山の役割をもったチャンピオンから先にピックすること
これで解決します。
もう一度キャッチ構成の例に立ち返ってみます。
今度はをファーストでとったとしましょう。
はUltのCCが非常に強力でキャッチ構成に組み込まれることもありますが、一方でWによるDPSとultのCCを生かしたカイト構成だったりプロテクトADC構成、さらには長射程のQを生かしたポーク構成など多種多様な構成を選択することができます。
このようにを見ただけではどのようなゲーム展開を相手が作ってくるか皆目見当がつかない、すなわち自分たちのやりたいゲーム展開を隠せたわけです。
つまり最初の1,2チャンピオンはできるだけ柔軟性の高いピックをしておいて構成を隠しておくとセカンドBanフェイズに自分たちの取りたいチャンピオンが消されずに済みます。
後は相手がピックしたチャンピオンに対してカウンターを当てることを意識するとより自然な形になって構成が絞られづらくなります。
セカンドピックフェイズにさえ移ってしまえばこちらのものです。
やりたい放題自分たちのやりたいゲーム展開に沿ったチャンピオンをピックしてやりましょう。もはや相手が取れる対抗策はチャンピオン1,2体のピック、恐るるに足りません。
実践編その1、競技シーンのBPを覗いてみる
では以上のことを踏まえながら実際に競技シーンではどのようなBPの進め方をしているか見ていきましょう。
試合動画↓
これはNA LCS SummerのQuarterfinals、Echo Fox vs TSMの1戦目の様子です(パッチは8.16)
今回はTSMサイドに立ってBPの流れを見ていきます。
まずざっくりとした今回のドラフトの状態を説明します。
このBPではTSMサイドが用意してきたバックラインへと強引に飛び込むハードエンゲージ、ダイブ構成に対してFOXがカウンターでカイト構成を取ろうとしたが間に合わなかった、大まかに説明すると以上のようなBPになります。
①ファーストBanフェイズ
このフェイズでは基本的に今のメタでOPと呼ばれるチャンピオンをBanします。
え?さっきと話が違うじゃないか、と思われる方も多いと思いますので説明すると、OPチャンピオンというのはどの構成にも合いやすく、なおかつカウンタープレイやカウンターチャンピオンが少ない、またはないチャンピオンのことです。
すなわち自分たちから先手を取って行動する際にOPチャンピオンが相手にいるだけで強引に状況を覆されてしまう可能性があります。
これらのことは先ほどのBPの基本部分で述べた、自分たちのやりたい構成に対してカウンターとなるチャンピオン、最初のピックは構成を隠すこと、これら二つを同時に消し去ることができて一粒で二度おいしいというわけです。
実際のBanを見てみると以外はかなり今メタに上がってきているチャンピオンたちですよね。
は先ほど説明したような柔軟性が高いチャンピオン、加えてLostが最も使用していて調子がいいチャンピオンであること。
はファーストでとられたときに対応にを取らされてしまうこと、はカイトは強いですが飛び込んでいくのはあまり得意としていません。
をとりあげなければBotの主導権を完全に渡してしまうことになり上手く試合を運ぶことが難しくなってしまいますからこれは当然のBanといえるでしょう。
は強力ですがOPというほどではない、これはDemonteがをかなり得意としていること(今シーズン4勝1敗と好成績)、そしてEのディスエンゲージが強力であることを考えて取られると面倒だと考えたというわけです。
こういったメタに上がってきていない相手の得意チャンピオンをBanすることをターゲットBanと言って少し定石から外れたBanになりますが、場合によってはとても有効な一手になりえる作戦です。
簡単に言えばそのチャンピオンをある選手に使わせるととんでもないパフォーマンスを発揮されてしまって思うように試合を進めることができない可能性があるとき、こういう時に使用されます。
②ファーストPickフェイズ
ここからPickに入っていくわけですがTSMは意図的にあるOPチャンピオンを開けました。それはです。
もともとは涙が完成するまでは少し影響力に欠けますが、完成して以降は素早いウェーブクリアとWの対象指定のスネアやEQのバーストもあり少数戦強力ですし、ultでのサイドロームも強い、加えてレイトゲームのDPSも期待できる、どんな構成にも組み込みやすい強力なチャンピオンになっています。
そして電撃が8.16でナーフされたことから以前から強力だったのに、さらに安定感が増してファーストピックの最有力候補まで上り詰めたわけです。
ですがブリンクのないでは全員が相手の懐に飛び込んでいくダイブ構成に対して、Wで一人止めることはできても他のチャンピオンに押しつぶされてしまうことが容易に想像できますから、TSMはをあえて開けて取らせたわけですね。
そしてTSMはとを抑えました。
この2体はともにバックラインへ飛び込んでいくことに優れているほか、
はEのステルスと移動速度アップでカイトが非常に強力で、はタンク能力はもちろんのこと、ultのキャッチも強力ですから両者ともに柔軟性の高いピックになっているわけです。
そしてFOXとしてはこれらのカウンターである、を抑えました。
がキャッチに強いところを見てのWの救出がある、もへのレーンでのカウンターとしてのピックです。
ただTSMはFOXのPickをまた制限していました。を見せたことによりそのカウンターを一つ意識させたわけですね。JGでいえば、SUPでいえばやあたりがセジュアニに対して回答を持っていますが、に関してはピラーでディスエンゲージしきるのは難しいですし、SUPの二人は一人守るので精一杯ですから全員でダイブする構成を目標にしているTSMにとっては苦にならないわけです。
そしてTSMは構成の核であるをここで抑えました。
これはまだがTOPに行くかMIDにいくかわからないというネクストBANフェーズで相手にゆさぶりをかけるためでもあります。
③セカンドBanフェイズ
さらにここでFOXはをとったことによって自分たちでという強力なディスエンゲージツールをBanせざるを得なくなっているところにも注目しなければいけません。
このセカンドBanでは先ほど言ったのカウンターのをBanしながら集団戦以外のところで差をつけられるという強力なスプリットプッシャー兼キャッチャーをBanしました。
④セカンドPickフェイズ
そしてTSMはを先に取ることでまだの行くレーンを隠します。
これに対していよいよ相手のエンゲージがすさまじいということでディスエンゲージ手段を用意するためを一つ抑えました。そしてタンクラインを支えられるという安定したピックをTOPでとりました。
これもをどこに行くか隠したことから安定ピックをとらざるを得ない部分が出ていますよね。
そして最後にそのに対してカウンターをとりつつメガ状態でのバックラインへ強力なプレッシャーをかけられるをピックすることに成功しました。
ここまで一つ一つかなり長く説明してきましたが、結局のところFOXとしては最初の3ピックをほぼTSMのやりたいようにとらされてしまっているわけですからTSMとしては自分たちのやりたいゲーム展開に弱いチャンピオンたちをまんまと取らせることに成功したわけですね。
FOXも後の2ピックでうまくカウンターを用意しましたが、すでに3ピック消えてしまっているような状態ですからどうしようもありません。
自分たちの勝ち方をしっかりと研究し、相手のBPを誘導するようなBPを組み立てる。
私が組み立てたわけではないのでどこまで彼らの意図をくみ取れたかはわかりませんが、これだけでもかなりの駆け引きが行われていることがわかりますね。
実践編その2、BPをやってみよう!
プロのBPをみて高まってきたところで実際にBPをやってみましょう!
ここではBPをするにあたっての注意点をまとめてみます。
①その場でBPを組み立てないようにしよう
本当にこれは大事なことで、BPを決められる時間はせいぜい30秒から1分程度しかありませんからより良いBPを組み立てるには時間が絶対に足りないですよね。
さらにその場でBPを組み立てると自分たちが考えていた構成からずれることが多々あります。
レーンでのカウンターを意識してしまったばかりに自分たちの欲しいものとは違うチャンピオンをとってしまうことなどイレギュラーがよく発生するものです。
競技シーンではほぼすべてのチャンピオンをピック出来ることもあってその場で改善していくことも可能ですが(可能なだけでほとんどのパターンを予想してきています)使えるチャンピオンが限られていたり、BPに慣れていない状態でそれをしてしまうと時間Overになったりいい構成ができなくなったりしますので、自分のだけでなく相手のピック予測も含めて絶対に準備しましょう。
②チャンピオンを増やすのではなく構成を増やそう!
長期的に見ればもちろんチャンピオンプールを増やすのは大事なのですが、短期間でチャンピオンプールを増やすのは相当苦しいです。ですからプールを広げてもらうのではなく、今使えるチャンピオンで取れる構成を考えるのが重要です。
どんなチャンピオンにもそれぞれ特徴的な部分、秀でている部分は一つは必ずありますから、それを5つそろえるだけでも形になります。
例えば上から、、、、みたいなチャンピオンたち。
過剰にも見えますが尖っている方がコミュニティー大会だと割とやりやすいのかなと思います。
競技シーンになってくると相手へのカウンターを意識したりイレギュラーへの対応も必要です。さらにBPでカウンターをとられないようにというところもありますから、できるだけ役割を持てるチャンピオンをピックするわけですが、短期的なチームであれば特徴を過剰に尖らせた方が連携も少なく済みますし対策を取られたとしてもごり押せることはあります。
もちろん尖っていてそれしかできないという欠点はありますが…
③BPが終わったらもう一度確認しよう
これ結構重要なのに忘れられがちなのですが、BPが一通り終わって60秒準備段階、ロード画面中にしっかり自分たちの構成は何に強い構成にしたのか、相手はどんな特徴を持った構成なのか、どの時間帯から自分たちはアクションを起こせるのか、どのレーンから仕掛けるのか。
そういった細かいゲーム展開を確認しましょう。
BPの基本のところでも言った通り、そのあたりのゲーム展開の好手はBPに沿って動いていくことが多いです。
逆にその流れに沿わないと相手のほうが強い時間帯で当たってしまったり、思うように仕掛けられなかったりと不具合が起きる可能性が多いわけです。
ですから試合が始まる前にしっかりメンバーの間で打ち合わせしておきましょう。
まとめ
かなり長く書きすぎてしまったなと思うので最後に要点をまとめておきたいと思います。
①BPはゲームの展開を決める大事なフェイズ!試合の有利不利はここで決まる!
②Banは自分たちの構成にとって苦手なチャンピオンを消そう!でも大体はそれがOPチャンプと重なるぞ!
③最初のPickは自分たちの構成がばれないようになるべく柔軟性の高いチャンプを選ぼう!
④セカンドBanでは自分たちが取った、もしくはこれから取るチャンピオンのカウンターをつぶそう!
⑤3ピック以降あたりで構成の核、足りない要素を埋めていこう!これらはカウンターをとられやすいチャンピオンが多いぞ!
これくらいでしょうか。
もちろんBPを見ていくうち、やっていくうちにこれに当てはまってないと感じるものも多く発生してきますし、実際これからわざと外れることによって相手のプランを崩すこともあります。
BPでゲーム展開を決めたといっても試合中にそれを自分たちから崩すプレイもあったりLoLは本当に多様性に富んだゲームなのでこれは一つの指標だと思っていただいた方がいいのかなと思います。
もちろん勝敗を直に決定づけるのはインゲームなのですがそのやりやすさを決めるのは間違いなくBPですから決して軽んじることなく向き合っていってほしいなと思います。
私自身BPが競技シーンを見るうえで面白さの上位に食い込んでくる部分だと思っているのでこの記事で少しでも面白さが伝わればいいなと思った次第です。
ここまで長々とお付き合いいただいて本当にありがとうございました!
少しでもこれからのLoLライフの一助になれば幸いです。
また、拡散などしていただけるととてもうれしいです()
次回はおそらくLJLCSの入れ替え戦あたりの記事を書こうと思っているのでそちらもどうぞよろしくお願いします!
それではまた!