【S14】ナサスをめぐる冒険【LPL、LCK】
突如としてメタに登場したナサス、その真相に迫る。
こんにちは。
9月に入りWorldsの代表も各国続々と決まる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
LJLからもSoftBankHawksGamingが無事PCS2位としてベルリンへの切符を手にしました。
さて今回はLPLやLCKといった世界のトップリーグに突如姿を現したナサスについて解説していきたいと思います。
弟の陰に隠れ、滅多にプロシーンに顔を出すことのなかった彼がなぜピックされ、現在LCKプレーオフではBanPick率86.4%とトップメタの一角を占めるようになったのか、その背景や採用されるバンピック、ビルドやカウンターピックについてみていこうとおもいます。
現在のナサスブームの話に入る前に、そもそもナサスがなぜプロシーンで無視され続けてきたのかについて考えてみましょう。
そこには主に2つの理由があると思われます。
Qサイフォンストライクのスタックを溜めることでパワーを発揮するナサスは当然レーン戦が強くありません。ゲームデザイン上当然ですよね。
プロシーンでは、弱いレーンを作る=そのサイドのジャングルの主導権を渡す、ということを意味しているので、例えばTopにナサスをピックしてしまうと、多くの場合ヴォイドグラブのコントロールを相手チームのJgにコントロールされてしまいます。
もちろん育てば相応のパワーを発揮してくれるのですが、それまでに渡した有利をプロのチームは手放してくれません、
なので、序盤の必敗を受け入れて、なおナサスのキャリー力が足りている、という判断がなされたときのみ採用できるというわけです。
似たような弱点を持つチャンピオンとしてはケイルが該当します。
彼女の場合、(強かった時期は)リスクに見合った性能があったのでプロでも採用されていました。
はブリンク、ダッシュスキルを持たない徒歩チャンピオンで、主なダメージソースはQによる強化通常攻撃、スネアやスタンといった所謂ハードCCも持っていません。
たしかに育ったQを回しながらのタンク性能は目を見張るものがありますが、カ=サンテのようにQでノックアップしたり、WでダメージカットしながらCCを無効化しダッシュしつつスタンをいれたり、Eでブリンクしながらシールドを得たり、Rで相手を分断したりすることはできません。4,700ヘルス、329の物理防御、201の魔法防御、CC無効とシールドを持ち、壁を超えることができる。ノックアップも持っていて
まあ何が言いたいかというとダメージディーラーとしては相手に近づく手段に乏しく、タンクとしてはCCがないという集団戦で活躍しにくい性能になっているわけです。
最近の競技シーンでみかけるチャンピオンでいえばウディアがこの弱点を持っていますが、彼は確定CCを持っていますし、そもそも序盤から強力なウェーブプッシュ能力を持っているので、ナサスと違ってレーンの主導権を握ることができます。
さて、ここまでナサスの弱点ばかりを挙げてきましたが、こんな穴だらけのチャンプがなぜプロシーンで採用されるようになったのでしょうか。
S14のSummerSplitはマークスマンの夏、といっても差し支えないシーズンでした。
LCKSummerのレギュラーシーズンを例にするとMidのピック率1位がコーキ、2位がトリスターナとマークスマン2体が上位を占め、
マークスマン全体だとゲーム数209対して229ピックされていて(なんとMidだけで)、均すと毎ゲーム少なくとも片方のMidはマークスマンという異常なシーズンでした。
これの理由を解説し始めるとまた別記事になってしまうので、やめておきますが、簡潔にいうとマークスマンに負荷をかけられるメイジがメタ上に存在しない、というのも理由の1つになっています。
シンドラやオレリオン・ソル、タリヤといったかつて序盤からゲームに影響を与えることが出来ていたメイジが悉くレイトスケールのチャンピオンにリメイクされてしまったので、現メタで序盤から存在感のあるAPチャンピオンはルブランしか存在しないといっても過言ではありません。
サポートがついてないとレーン戦が出来ない、と言われる序盤貧弱なはずのマークスマンがソロレーンで戦えている今のメタならなら、当然ナサスもレーニングに耐えうるだろう、というのが、後で解説するMidナサスの出発点になっていると思われます。
ナサスのWウィザーは、移動速度と攻撃速度を両方下げる効果で、持続時間5秒、最大で攻撃速度に71.25%ものデバフを与えることが出来ます。
前述のとおり、Midにマークスマンが出張ってくるくらいの大マークスマン時代にこのCC
は強力すぎますし、Midのピック率3位のアジール、4位のヨネともに攻撃速度が重要なチャンピオンなので、Midのピック率上位7体のうちWが効かないのはタリヤのみと環境に刺さりまくったスキルになっています。
これにより集団戦で役割が少ないという弱点が緩和されたわけです。
S14に入ってからには2回のバフが入っており、単純にチャンピオンパワー自体も高くなっていました。
パッシブのライフスティール(大体ここが強くなるとナサスが暴れる)、Qの基礎ダメージ(序盤のスタックがとりやすくなる)、レベルアップごとの攻撃力上昇量と土台を固めるようなバフが入っていましたが、極めつけがEスピリットファイアのバフが強烈でした。
物理防御カット効果のバフも馬鹿にならないのですが、一番の問題は消費マナの減少で、スキルレベル1から10ダウン、最大で30も消費マナが少なくなりました。
これにより、Eを使ったお手軽ウェーブクリア兼ハラスが出来るようになり、レーン戦の弱さという弱点も克服したわけです。
柔らかいチャンピオンに対しての後出し、固いチャンピオンへの後出し(対カサンテなど)、カウンターピックされた場合(対ガレンなど)で3つのシチュエーションが想定されるナサスですが、主に2つのビルドパスが使われています。
元々ソロQで対ティーモのレーン戦で採用されていたもので、Eの不可避ハラスをして相手をレーンから追い出しつつ、Qのスタックをゆっくり溜めていこうというビルドになっています。
ルーン
エアリー召喚と追い火で回避不能なハラスダメージを与えながら、マナフローバンドとビスケットでマナを得ていくルーン設定です。
終盤での追い足のために疾駆も当然好相性です。
スキルオーダー EQEWERE、以下R>Q>W>E
Eをレベル4まで取って、が完成する頃合いでQ上げに切り替えるといった感じです。
スタートアイテム
ドランリング
これによりハラス力、マナ回復を補います。アダプティブフォースがAPになるのもポイントです。
1stコアアイテム
トリニティフォース
ナサスと相性がいいので武器は基本これだけを買います。
を買うときのポイントとしては必ず→→の順番で購入することです。
シーンに関してはスキルとの相性やスキルヘイストの関係で自然だと思いますが、ドランリングの魔力が18、ファージの攻撃力が15、ハースバウンドアックスの攻撃力が20なので、
とを買った場合アダプティブフォースが魔力になりますが、+だとアダプティブフォースが攻撃力になってしまい、Eのハラスが弱くなってしまいます。
防具候補
フローズンハート
スピリットビサージュ
自然の力
ステラックの篭手
フローズンハートはWの攻撃速度低下が徐々に増加するタイプなので、合わせて持つことでCCの効きが弱い時間をカバーできます。
魔法防御系はライフスティールと相性のいいスピリットビサージュが基本ですが、自然の力も相手を追いかける意味では強力なアイテムなので構成やプレイヤーの好みで使い分けられている印象です。
ステラックの篭手は、基礎攻撃力、攻撃力上昇量、レベル18の攻撃力どれをとっても上位10%以内に入る高ステータスなナサスにとって相性が良く、テナシティも徒歩勢の彼にはいくらあっても困らないスタッツなので、自分が育っているときなどには特に有効なアイテムになっていると思います。
これらの相手にはE上げでハラスしたところで焼け石に水なので、ルーンやスキルオーダーが変わってきます。
ルーン
フリートフットワークでサステインを確保しつつ、終盤は集団戦で相手を追いかけたり、サイドレーンで相手のガンクを回避したりするための移動速度を確保するビルドです。
不滅の2列目はカウンターチャンピオン相手にはボーンアーマー、それ以外は息継ぎがよさそうです。
ビルドはスタートアイテムだけドランシールドにします。
Eのハラスが意味をなさないので。あとのビルドはハラスビルドの時と同様です。
さて、次は実際にピックされたシチュエーションなどを紹介していきましょう。
Tier1の地域ではLPL、LCK、LCSでピックされたナサスですが、LPLはパッチ14.15、LCKとLCSはパッチ14.16を使用しているので分けて考える必要があります。
LPLレギュラーシーズン最終盤にUltraPrimeのQingtian選手がTopでピックしたのがファーストペンギンならぬファーストドッグだったわけですが、この試合は消化試合だったので、プレーオフ以降に限ってみるとNinjas in Pyajamasのshanji選手が始祖といっていいでしょう。
(彼はこのプレーオフ中3回ナサスをピックしたトップブリーダーです)
対面はジェイスでした。
その後もケネンなど柔らかい対面に後出しして、前述のEでハラスしながらレーン戦を維持し、スケールとWのCCで活躍していく、というのがパッチ14.15のナサスの基本的な運用方法になっています。
パッチが進んだ14.16ではルインドキングブレードのナーフによって、ゼリやトリスターナのティアがやや下がり、バフされたことによってアジールのティアが上がった環境になっています。
ここで登場してきたのがMidナサスです。最初に危険外来生物を持ち込んだのはDplusKIAのShowmaker選手、アジール対面のピックでした。
DKの場合はShowmaker選手自身がルブランの名手でほぼ必ず相手チームがBANしてくるという事情もあって、このパッチTierの高いアジールに後出し可能かつルブランをぶつけられないという、ピックしやすい条件が整っているというのありますね。
その後LCKではナサスを先出しするというドラフトが行われるようになります。
相手にカウンターピックを強要しつつ、カウンターを取られた場合はトップに逃がし、レーンで負ける分のダメージを軽減するという作戦です。
この試合ではGEN.Gの徹底的なナサス潰しが成功し、Kingen選手は地獄を見ることになりましたが、こういったドラフト戦略を嫌ってブルー、レッド関係なくBAN枠を割くチームも増えている、というのが現状です。
環境の追い風から遂には先出しすらされるようになってしまったナサスですが、カウンターが存在しないわけではありません。
以下に現状でピックされるカウンターを3例紹介してみようとおもいます。
ガレンはQでナサスのWのスローを解除することが出来、パッシブの体力回復、マナ無しチャンピオンということもあって高いレーン維持能力でナサスのハラスを一切受け付けない、と完全なるアンチピックになっています。
もちろんナサス同様集団戦に難があるチャンピオンですが、どうせ相手も集団戦は大して強くはないので、レーン戦で圧倒できる分有利をつくれる、ということもあってLCK、LCSでカウンターとして採用されています。
Showmaker選手とChovy選手、世界有数のミッドレーナーがナサスvsガレンをやる姿には衝撃を受けました。
スモルダーはナサスと同じ、いわゆる農民系チャンピオンで(スタックを溜めて終盤強くなるチャンピオン)、ナサスと違って、アルティメットによるウェーブクリアや遠距離からのアシスト能力、Eによる立ち回りの自由度とキャリーしやすさが段違いなので、ナサスが多少レーンで押し込んだところで最後にはキャリー仕切ってしまうポテンシャルがあります。
ただ、14.16ではスモルダーMidがTier1の評価なのでBANされてしまいがちなのが問題点です。
ところでこの項だけアイコンがないことに気づきましたか?更新さぼり過ぎててスモルダーのアイコンを追加し忘れていたんです。すみません。
こいつもなんか顔もレーンも違う気がしますがカウンターとしてピックされています。
ナサスは正面から殴りかかる以外ダメージを出せないチャンピオンなので終盤の集団戦ではインペイルの餌食になってしまいます。
GEN.G vs DplusKIA、終盤の集団戦のシーンです。
ドラゴンピットの入り口から入ってこようとするKingen選手のナサスをCanyon選手がしっかりと止めています。
対スカーナーの場合、ナサスは本当に窮屈になってしまいます。
いかがだったでしょうか。
個人的な見解としてはパッチ14.16では赤側がランブルとスモルダーをBanしないといけないメタになっているので、ナサスに関しての工夫が求められるのはBan枠の余裕がない赤側だと思います。
3枠目でナサスをBanするのか、マオカイやヴァイ、リリア、ジグスといったOPチャンピオンをあえてBanせずにナサスとトレードするドラフトを組み立てるのか。
チームの準備やコーチ陣の手腕、当日の駆け引きに注目しながら、残る数少ないサマーシーズンの試合を見守っていこうと思います。
9月に入りWorldsの代表も各国続々と決まる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
LJLからもSoftBankHawksGamingが無事PCS2位としてベルリンへの切符を手にしました。
さて今回はLPLやLCKといった世界のトップリーグに突如姿を現したナサスについて解説していきたいと思います。
弟の陰に隠れ、滅多にプロシーンに顔を出すことのなかった彼がなぜピックされ、現在LCKプレーオフではBanPick率86.4%とトップメタの一角を占めるようになったのか、その背景や採用されるバンピック、ビルドやカウンターピックについてみていこうとおもいます。
なぜナサスがピックされるのか
現在のナサスブームの話に入る前に、そもそもナサスがなぜプロシーンで無視され続けてきたのかについて考えてみましょう。
そこには主に2つの理由があると思われます。
① レーン戦が弱く主導権がとりづらい
Qサイフォンストライクのスタックを溜めることでパワーを発揮するナサスは当然レーン戦が強くありません。ゲームデザイン上当然ですよね。
プロシーンでは、弱いレーンを作る=そのサイドのジャングルの主導権を渡す、ということを意味しているので、例えばTopにナサスをピックしてしまうと、多くの場合ヴォイドグラブのコントロールを相手チームのJgにコントロールされてしまいます。
もちろん育てば相応のパワーを発揮してくれるのですが、それまでに渡した有利をプロのチームは手放してくれません、
なので、序盤の必敗を受け入れて、なおナサスのキャリー力が足りている、という判断がなされたときのみ採用できるというわけです。
似たような弱点を持つチャンピオンとしてはケイルが該当します。
彼女の場合、(強かった時期は)リスクに見合った性能があったのでプロでも採用されていました。
② 集団戦で仕事がしづらい
はブリンク、ダッシュスキルを持たない徒歩チャンピオンで、主なダメージソースはQによる強化通常攻撃、スネアやスタンといった所謂ハードCCも持っていません。
たしかに育ったQを回しながらのタンク性能は目を見張るものがありますが、カ=サンテのようにQでノックアップしたり、WでダメージカットしながらCCを無効化しダッシュしつつスタンをいれたり、Eでブリンクしながらシールドを得たり、Rで相手を分断したりすることはできません。
まあ何が言いたいかというとダメージディーラーとしては相手に近づく手段に乏しく、タンクとしてはCCがないという集団戦で活躍しにくい性能になっているわけです。
最近の競技シーンでみかけるチャンピオンでいえばウディアがこの弱点を持っていますが、彼は確定CCを持っていますし、そもそも序盤から強力なウェーブプッシュ能力を持っているので、ナサスと違ってレーンの主導権を握ることができます。
さて、ここまでナサスの弱点ばかりを挙げてきましたが、こんな穴だらけのチャンプがなぜプロシーンで採用されるようになったのでしょうか。
① レーン戦が強いチャンピオンがメタ上に少ない
S14のSummerSplitはマークスマンの夏、といっても差し支えないシーズンでした。
LCKSummerのレギュラーシーズンを例にするとMidのピック率1位がコーキ、2位がトリスターナとマークスマン2体が上位を占め、
マークスマン全体だとゲーム数209対して229ピックされていて(なんとMidだけで)、均すと毎ゲーム少なくとも片方のMidはマークスマンという異常なシーズンでした。
これの理由を解説し始めるとまた別記事になってしまうので、やめておきますが、簡潔にいうとマークスマンに負荷をかけられるメイジがメタ上に存在しない、というのも理由の1つになっています。
シンドラやオレリオン・ソル、タリヤといったかつて序盤からゲームに影響を与えることが出来ていたメイジが悉くレイトスケールのチャンピオンにリメイクされてしまったので、現メタで序盤から存在感のあるAPチャンピオンはルブランしか存在しないといっても過言ではありません。
サポートがついてないとレーン戦が出来ない、と言われる序盤貧弱なはずのマークスマンがソロレーンで戦えている今のメタならなら、当然ナサスもレーニングに耐えうるだろう、というのが、後で解説するMidナサスの出発点になっていると思われます。
② Wによる対マークスマン性能の高さ
ナサスのWウィザーは、移動速度と攻撃速度を両方下げる効果で、持続時間5秒、最大で攻撃速度に71.25%ものデバフを与えることが出来ます。
前述のとおり、Midにマークスマンが出張ってくるくらいの大マークスマン時代にこのCC
は強力すぎますし、Midのピック率3位のアジール、4位のヨネともに攻撃速度が重要なチャンピオンなので、Midのピック率上位7体のうちWが効かないのはタリヤのみと環境に刺さりまくったスキルになっています。
これにより集団戦で役割が少ないという弱点が緩和されたわけです。
③ そもそもナサス本人がバフされすぎた
S14に入ってからには2回のバフが入っており、単純にチャンピオンパワー自体も高くなっていました。
パッシブのライフスティール(大体ここが強くなるとナサスが暴れる)、Qの基礎ダメージ(序盤のスタックがとりやすくなる)、レベルアップごとの攻撃力上昇量と土台を固めるようなバフが入っていましたが、極めつけがEスピリットファイアのバフが強烈でした。
物理防御カット効果のバフも馬鹿にならないのですが、一番の問題は消費マナの減少で、スキルレベル1から10ダウン、最大で30も消費マナが少なくなりました。
これにより、Eを使ったお手軽ウェーブクリア兼ハラスが出来るようになり、レーン戦の弱さという弱点も克服したわけです。
エアリーE上げでレーンを制するナサスのビルドパス
柔らかいチャンピオンに対しての後出し、固いチャンピオンへの後出し(対カサンテなど)、カウンターピックされた場合(対ガレンなど)で3つのシチュエーションが想定されるナサスですが、主に2つのビルドパスが使われています。
対柔らかいチャンピオン向けエアリービルド
元々ソロQで対ティーモのレーン戦で採用されていたもので、Eの不可避ハラスをして相手をレーンから追い出しつつ、Qのスタックをゆっくり溜めていこうというビルドになっています。
ルーン
エアリー召喚と追い火で回避不能なハラスダメージを与えながら、マナフローバンドとビスケットでマナを得ていくルーン設定です。
終盤での追い足のために疾駆も当然好相性です。
スキルオーダー EQEWERE、以下R>Q>W>E
Eをレベル4まで取って、が完成する頃合いでQ上げに切り替えるといった感じです。
スタートアイテム
ドランリング
これによりハラス力、マナ回復を補います。アダプティブフォースがAPになるのもポイントです。
1stコアアイテム
トリニティフォース
ナサスと相性がいいので武器は基本これだけを買います。
を買うときのポイントとしては必ず→→の順番で購入することです。
シーンに関してはスキルとの相性やスキルヘイストの関係で自然だと思いますが、ドランリングの魔力が18、ファージの攻撃力が15、ハースバウンドアックスの攻撃力が20なので、
とを買った場合アダプティブフォースが魔力になりますが、+だとアダプティブフォースが攻撃力になってしまい、Eのハラスが弱くなってしまいます。
防具候補
フローズンハート
スピリットビサージュ
自然の力
ステラックの篭手
フローズンハートはWの攻撃速度低下が徐々に増加するタイプなので、合わせて持つことでCCの効きが弱い時間をカバーできます。
魔法防御系はライフスティールと相性のいいスピリットビサージュが基本ですが、自然の力も相手を追いかける意味では強力なアイテムなので構成やプレイヤーの好みで使い分けられている印象です。
ステラックの篭手は、基礎攻撃力、攻撃力上昇量、レベル18の攻撃力どれをとっても上位10%以内に入る高ステータスなナサスにとって相性が良く、テナシティも徒歩勢の彼にはいくらあっても困らないスタッツなので、自分が育っているときなどには特に有効なアイテムになっていると思います。
対カウンター、対タンクビルド
これらの相手にはE上げでハラスしたところで焼け石に水なので、ルーンやスキルオーダーが変わってきます。
ルーン
フリートフットワークでサステインを確保しつつ、終盤は集団戦で相手を追いかけたり、サイドレーンで相手のガンクを回避したりするための移動速度を確保するビルドです。
不滅の2列目はカウンターチャンピオン相手にはボーンアーマー、それ以外は息継ぎがよさそうです。
ビルドはスタートアイテムだけドランシールドにします。
Eのハラスが意味をなさないので。あとのビルドはハラスビルドの時と同様です。
実際の競技シーンでの運用
さて、次は実際にピックされたシチュエーションなどを紹介していきましょう。
Tier1の地域ではLPL、LCK、LCSでピックされたナサスですが、LPLはパッチ14.15、LCKとLCSはパッチ14.16を使用しているので分けて考える必要があります。
LPLの場合
LPLレギュラーシーズン最終盤にUltraPrimeのQingtian選手がTopでピックしたのがファーストペンギンならぬファーストドッグだったわけですが、この試合は消化試合だったので、プレーオフ以降に限ってみるとNinjas in Pyajamasのshanji選手が始祖といっていいでしょう。
(彼はこのプレーオフ中3回ナサスをピックしたトップブリーダーです)
対面はジェイスでした。
その後もケネンなど柔らかい対面に後出しして、前述のEでハラスしながらレーン戦を維持し、スケールとWのCCで活躍していく、というのがパッチ14.15のナサスの基本的な運用方法になっています。
LCK、LCSの場合
パッチが進んだ14.16ではルインドキングブレードのナーフによって、ゼリやトリスターナのティアがやや下がり、バフされたことによってアジールのティアが上がった環境になっています。
ここで登場してきたのがMidナサスです。最初に危険外来生物を持ち込んだのはDplusKIAのShowmaker選手、アジール対面のピックでした。
DKの場合はShowmaker選手自身がルブランの名手でほぼ必ず相手チームがBANしてくるという事情もあって、このパッチTierの高いアジールに後出し可能かつルブランをぶつけられないという、ピックしやすい条件が整っているというのありますね。
その後LCKではナサスを先出しするというドラフトが行われるようになります。
相手にカウンターピックを強要しつつ、カウンターを取られた場合はトップに逃がし、レーンで負ける分のダメージを軽減するという作戦です。
この試合ではGEN.Gの徹底的なナサス潰しが成功し、Kingen選手は地獄を見ることになりましたが、こういったドラフト戦略を嫌ってブルー、レッド関係なくBAN枠を割くチームも増えている、というのが現状です。
ナサスのカウンターピックについて
環境の追い風から遂には先出しすらされるようになってしまったナサスですが、カウンターが存在しないわけではありません。
以下に現状でピックされるカウンターを3例紹介してみようとおもいます。
ガレン
ガレンはQでナサスのWのスローを解除することが出来、パッシブの体力回復、マナ無しチャンピオンということもあって高いレーン維持能力でナサスのハラスを一切受け付けない、と完全なるアンチピックになっています。
もちろんナサス同様集団戦に難があるチャンピオンですが、どうせ相手も集団戦は大して強くはないので、レーン戦で圧倒できる分有利をつくれる、ということもあってLCK、LCSでカウンターとして採用されています。
Showmaker選手とChovy選手、世界有数のミッドレーナーがナサスvsガレンをやる姿には衝撃を受けました。
スモルダー
スモルダーはナサスと同じ、いわゆる農民系チャンピオンで(スタックを溜めて終盤強くなるチャンピオン)、ナサスと違って、アルティメットによるウェーブクリアや遠距離からのアシスト能力、Eによる立ち回りの自由度とキャリーしやすさが段違いなので、ナサスが多少レーンで押し込んだところで最後にはキャリー仕切ってしまうポテンシャルがあります。
ただ、14.16ではスモルダーMidがTier1の評価なのでBANされてしまいがちなのが問題点です。
ところでこの項だけアイコンがないことに気づきましたか?更新さぼり過ぎててスモルダーのアイコンを追加し忘れていたんです。すみません。
スカーナー
こいつもなんか顔もレーンも違う気がしますがカウンターとしてピックされています。
ナサスは正面から殴りかかる以外ダメージを出せないチャンピオンなので終盤の集団戦ではインペイルの餌食になってしまいます。
GEN.G vs DplusKIA、終盤の集団戦のシーンです。
ドラゴンピットの入り口から入ってこようとするKingen選手のナサスをCanyon選手がしっかりと止めています。
対スカーナーの場合、ナサスは本当に窮屈になってしまいます。
ナサスの冒険のゆくえ
いかがだったでしょうか。
個人的な見解としてはパッチ14.16では赤側がランブルとスモルダーをBanしないといけないメタになっているので、ナサスに関しての工夫が求められるのはBan枠の余裕がない赤側だと思います。
3枠目でナサスをBanするのか、マオカイやヴァイ、リリア、ジグスといったOPチャンピオンをあえてBanせずにナサスとトレードするドラフトを組み立てるのか。
チームの準備やコーチ陣の手腕、当日の駆け引きに注目しながら、残る数少ないサマーシーズンの試合を見守っていこうと思います。
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