LJL観戦メモ2022Spring Day12
ADCがバンされる試合が増えてきた
BurningCore vs RascalJester
BCはガングプランク、へカリムで相手の陣形を崩してアカリとジンクスがキルを回収する構成で、一斉砲撃の援護があるのでサイドレーンでのアクションも強力。
それに対しRJはいわゆるダイブ構成。リサンドラやアリスターが相手のバックラインにCCを入れてカイ=サがキラーヴォイドで飛び込む、集団戦でフロントラインとバックラインをひっくり返す構成だ。
レオナはカイ=サに対して強いチャンピオンだが、ピール力としては1枚落ちるので、ダイブ構成に対してFujimotoが上手くスキルを残せるかにも注目だ。
この試合、両チームのボットレーンがカギとなった試合だった。
最初の大きな集団戦の1体目のヘラルドファイトではRJに少しミスが出た。
ここ何戦か感想メモで指摘しているがこの試合でもRJは丁寧にウェーブコントロールを行っていて、このシーンでもボットレーンはRJ側がコントロールするウェーブになっていたが、それを作っていたこともあってSsolがファイトに合流するのが遅れたのだ。
一方BCのボットレーンは先に寄れていてこの差が大きく集団戦では3-1のキルトレード。さらにヘラルドも獲得したBCがゲームをリードする展開になる。
しかしこのウェーブメイクは無駄にならなかった。Ssolはウェーブコントロールで得たボットレーンの優位を活かしてYuhiとのCS差をどんどん広げていき、15分時点で30CS差をつけボットの1stタワーの破壊、2体目のドラゴンも獲得する。
しかし続く3体目のドラゴンファイトではCS差をつけられ苦しかったBCボットレーンの好プレイが光った。YuhiがパックンチョッパーでRJを分断するとキラーヴォイドで入ってきたカイ=サをFujimotoが温存していたソーラーフレアで迎撃、ドラゴンこそ取れなかったものの3-0で集団戦に勝利しミッドの1stタワーを獲得、グローバルゴールドでリードを広げていく。
ターニングポイントとなった29分のバロンファイトでSsolの個人技が光った。
ポジションを主張しにきたFujimotoのレオナにプレッシャーをかけWを使わせると、効果が切れるのを待ってダメージを一気に与える。
たまらずFlawlesSがカバーをするが、キラーヴォイドでミッドレーン側に逃げると、レオナのQをクレンズで即解除しフラッシュアウト、壁越しにヴォイドシーカーでスナイプしFujimotoを倒しきった。
早々にエクリプスを切らされてしまったFujimotoとは対称的にSecretはWでへカリムを吹っ飛ばし集団戦から除外すると、不屈の意思を発動し、かなり長い間タンクとしての性能を発揮した。
この時間稼ぎが功を奏し、BCはバックラインに飛び込んだDiceのアカリを援護することができなかった。
集団戦を4-1で勝利したRJがバロンを獲得し逆転に成功する。
バロンバフを利用したRJがその後6体目のドラゴンファイトで勝利し、そのままゲームに勝利した。
ドラゴンファイトではInoのゲージ管理が完璧だったといえば聞こえはいいが、ナーに絶好のタイミングで変身されてしまう、そんなエンゲージしてしまったBCが少し焦ったように見えたシーンだった。
しかしこれは序盤3ドラゴンを重ねてBCにオブジェクトでの戦いを強要したRJボットレーンの勝利と言い換えることもできるだろう。
勝ったRJは2位同士の直接対決を制して5連勝。8勝4敗で2位に踏みとどまった。
連勝中はSsol、Secretの個人技が目立っているが、Inoの調子が上がってきているのも連勝の要因の1つ。この試合でもナーのアルティメットでBCを完全に封殺していた。
敗れたBCは7勝5敗。2巡目では上位勢に勝てていない。
Yuhi、Fujimotoはこの試合良いパフォーマンスだったがRJの最強ボットレーンと張り合わせるには少し荷が勝ちすぎていたか。
勝ち星にはまだまだ余裕があるので3巡目やプレーオフを見据えてボットレーン勝負のピックを試しているのかもしれない。
CrestGamingAct vs V3esports
CGAはフロントラインとして機能するチャンピオンが4枚もいて、HybirDのジンクスが終盤すべてを掃除するといういつものやつ。
対するV3はカミールとルブランというサイドレーンで強力なチャンピオンをジグスのメガインフェルノボムで援護できる1-3-1構成で、CGAとしてはソロレーナーを育てさせないこと、ドラゴンでリードして相手に集団戦を戦わせること、が重要になってきそうなピックになった。
当然それを分かっているCGAはボットレーンにリーシュをさせずにゲームをスタートさせる。
ジグスは序盤レーンコントロールを取るのが難しいため、早い時間帯のドラゴンを警戒したYunikaはボットレーンに身体を寄せる時間が少し増える。
そうなるとTopは1v1の状態が増え、6分50秒、NapのレネクトンがWashidaiのカミールをソロキル。
V3もカウンターで1stドラゴンを獲得、ソロレーンを育てたいV3、ドラゴンを取りたいCGA、お互いがお互いの作戦を阻害しあう形のトレードとなった。
タワープレートが消滅するまで何度も少数戦がおき、イーブンなキルトレードが続いたが、ヘラルドを獲得したことや2度カミールが倒されたこと、そのカバーにdresscodeがTPを切らされたこともあって14分時点でCGAが3000gをリード、HybirDは2アイテムが完成するなどリードを奪った。
15分前後に2体目のヘラルドを巡った戦いでは、CGAの構成の強さが出た。レク=サイ、ヴェックスが相次いで相手のバックラインにダイブ。
ラピッドファイアキャノンを完成させたジンクスが後ろからダメージを出し続け、CGAが3-1のキルトレードに成功した。
19分50秒、ここまで集団戦でアグロのかく乱など上手い立ち回りを見せていたEugeoがHybirDをアサシンし、シャットダウンゴールドを獲得。ミッド1stタワー破壊後、ボットレーンのNapも倒して一気に差を詰めていく。
Washidaiにキルが入ったことでハルブレイカーが完成。V3も構成の強味である1-3-1が行える下地が完成した。
23分過ぎのミッドレーンでの集団戦は、NapのバックTPが綺麗にきまり4-1トレードと、これでバロン獲得、一気にCGAペースになったかと思いきや、最後に生き残ったWashidaiのカミールがダブルキルを獲得してチームを救う。
最後の1人になったことで発動したハルブレイカーの自動効果を活かした見事な反転だった。
V3は間一髪バロンを取られずに済んだもののやはり集団戦が強いのはCGA側。
29分過ぎにはNapがトップでシージしているのを見てWashidaiを寄せたV3だったが、先にNemohの錨投げから仕掛けると爆雷発射で3人をノックアップ。
レネクトンがTPで合流するまでの間V3のダメージ減を断つと一気にhetelを倒しきる。
フランカーから入ってきたカミールがなんとかHybirDを倒しキルも4-1の交換でCGAが勝利、ドラゴンソウルを獲得する。
その後はEugeoが奮闘する場面もあったが、やはりHybirDのキャリー力には抗えず、集団戦に勝ち続けたCGAが勝利を収めた。
勝ったCGAは連勝で8勝4敗。4敗ラインを死守した。
GangoがいたころからそうだがCGAはシンプルなゲームプランを立ててリソースを集中させる戦術が巧みで、この試合もリソースの分配と自分たちの構成の強い部分を押し付けるNemohのエンゲージ判断が光った。
敗れたV3は0勝12敗。
Eugeo、Washidaiは中盤以降ピックの狙い通り良いプレイが出来ていたが、構成上序盤にYunikaが要求される仕事が多すぎてCGAにゲームをコントロールされてしまった。
DetonationFocusMe vs AXIZ
強気なピックでレーン戦勝ちに来ることが多い新人tol2に対し、ベテランEviが選択したのはダリウス。少しエンゲージ力が落ちる代わりにレーン戦での強さを補強するピックだ。
それに対し、AXZはさらに強気なフィオラを選択。サイラス、セジュアニの組み合わせで上半身での少数戦を強化したピックになっている。
ゲーム開始4分、赤サイド青バフ周りでファイトが起きる。
セジュアニのファームの遅さを咎めるStealの動きがきっかけとなった戦いだが、Harpがヘクスフラッシュで仕掛けたのに対しDiceyが反応してしまったのがAXZとしてはミスだった。
Yutaponが置いたパックンチョッパーに自分たちからハマりにいってしまい、Yaharongのフラッシュインが決まって一気に3キルを獲得。DFMはボットサイドの有利を手中に収めた。
4分30秒のTop同士のプライドファイトはキャノンミニオンを処理していたEviと処理していなかったtol2で差が出た。
リーサルテンポというルーン選択も効いていて、征服者と違って発動が早く、フィオラがもってきたイグナイトの影響を受けずにキーストーンの力をすべて発揮できた。
これで全レーン有利になったDFMは6分でボット1stタワーにダイブ成功、3キルとタワープレート2枚獲得でその差は決定的となった。
ここでDFMの勝利がほぼ決まってしまったのでこの後の感想は省くが、少し気になったのはAXZのゲーム前の戦略。
フィオラピックが分かりやすく批判の的になりそうだが、実際はそこよりも大きな問題があったように思う。それはジャングルのマッチアップとレベル1での動きだ。
へカリム対セジュアニというマッチアップはへカリムのほうが先手を取りやすく、かつMidのマッチアップもレンジチャンピオンであるヴェックスが序盤の主導権を握り易そうなため、4分の青バフでStealが仕掛けてくるのは十分予測できたはずだ。
ならばそれに対抗するためAXZは5人でスタックして相手のジャングルにワードを置きに行く動きをするべきだったと思う。
(最初の50秒くらいはインゲームの映像がないのでもしかしたらしていたのかもしれないが。というかレベル1で何かが起きそうなドラフトのときは開始15秒からちゃんと見せてほしい)
レベル1ファイトが強力なノーチラスとセジュアニを持っているAXZにはその優先権があった。
実際DFMはインベードを警戒して、Harpが1分30秒前にクルーグピットから自陣赤バフへとワードを置いている。
フィジカルの強さ、ミスの少なさ以外の事前準備の面でもDFMが上回った試合だったといえる1シーンだった。
勝ったDFMは11勝1敗。前節負けた影響を感じさせない完勝だった。
Harpは若干オフメタのセトサポートだったが、Yaharongのヴェックスと共にイニシエーターとして活躍した。
敗れたAXZは3連敗で3勝9敗。
予定通りのノーチラス、セジュアニピックだったと思うが、2枚のアフターショックもセトの確定ダメージの前では無力だった。
SengokuGaming vs SoftbankHawksGaming
SHGは前節の結果を受けてADCを4バンするCGAと似たドラフト戦略を選ぶ。
それに対し、HoneyはHybirDに苦しめられたザヤを自ら選択、試合間隔の狭い今期のLJLできっちり宿題をこなせているか、SGとしては上位に踏みとどまるためには試練のドラフト展開となった。
ファーストブラッドを獲得したのはSHG。フラッシュを落としたMarbleが上手くレーンをプルし、Blankのガンクを呼び込んだ。
一方SGは上半身の2人Paz、Jettがレーンの主導権を握るとリフトヘラルドを無償で獲得、お互いに反対サイドで利益を出し合う展開となった。
11分前、トライブッシュの近くでワードベイトをつかった集団戦を仕掛けたSGが2キルを獲得、ヘラルドをつかってタワープレート、ドラゴン、ADCのCS差と1プレイで2000g近い差を作り出した。
このシーン、SHGは視界を確保するのか、ボットのビッグウェーブに対処するのか、ファイトをするのかという意思統一があやふやで、中途半端に危険な位置に固まったところにSGのエンゲージを受けてしまった。
逆にJettのヴェックスは安全かつ相手のワードがない道を通って合流していて、これをサポートする形でHoneyがウェーブをプッシュし相手のミニオンの視界を消すなど4人が明確な意図を持ったアクションをしていた。
SHGは直近2試合ではこういった判断が良くなってきていただけに残念なシーンだった。
SGは14分前にもボットタワーへのダイブに成功。ヴェックスとアーリのウェーブクリアの差を活かしたロームが冴える。
対応するためにKinatuがTPでボットレーンに飛んでしまったため、イーブンで進んでいたTop同士でも小さくない差が生まれる結果となってしまった。
ゲームの流れが決定的になったのが22分の起きた4体目のドラゴンファイト。
Kinatuはゲージをうまく管理するとRainaのエンゲージからナーのアルティメットでHoneyを狙う。
しかしザヤに対してスタンにならなかったことでフェザーストームが間に合うと、ブレードコーラーでブリンクインしてきたDasheRまで絡め取り、脅威ビルドということもあって3人に一瞬にして大ダメージを与える。
フラッシュアウトしたHoneyを追撃しようとしたDasheRにOnceとPazがアルティメットを重ねて戦闘不能に追い込み、たまらずDasheRはフラッシュアウト。このカバーで集団戦の体勢は決した。
大活躍したSGのザヤに対し、SHGのアフェリオスはダメージを出す機会がなかった。武器が鎌とチャクラムの組み合わせで月光の祈り以外に長射程のスキルがなく、それを撃てるタイミングはEntyの爆雷発射でつぶされてしまった。
SHGはAoEを重ねて良いエンゲージをしたように見えたが、Marbleの武器構成を考えるとしっかりアフェリオスの前にフロントラインを配置して前から当たってあげるべきだった。
ここでついたバロンと約4000gの差が埋めがたく、SHGは最後もRainaの苦し紛れのエンゲージから集団戦を仕掛けるがその瞬間にKinatuがミニに戻ってしまうなど最後までかみ合わず、
SGがそのまま4-0で集団戦に勝利すると、ネクサスまで一気に駆け抜けてゲームを終わらせた。
勝ったSGは8勝4敗で2位タイを維持。
ここ数試合存在感がやや希薄だったHoneyだが、この試合では味方の手厚いボットガンクもあってチームをキャリーした。
脅威ザヤはメタでピックされるADCの中ではパワースパイクが早く流行りのダイバーたちをいなせるのが特徴だが、その2つの長所を活かして宿題の成果を見せつけた。
敗れたSHGは3勝9敗。
試合に大きな影響を及ぼしたトライブッシュでの戦いでもドラゴンファイトでも、自分たちがどう戦うべきかのイメージが共有できているのか怪しくみえてしまった。ここ2試合良化していたコミュニケーションにまたしても問題が発生してしまい、3連勝とはならなかった。
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