メタの流れから見るADCフォーチュン考察

February 17, 2017 by Anonymous, Patch 7.2

競技シーンで最近ADCとしてもピックされるようになってきたフォーチュン。その背景、理由を考察する

ADCMFが復権してきた



こんにちは。今日はミスフォーチュンに関する考察をしていこうと思います。
僕がLOLを始めたのはシーズン2・3間のプレシーズンからでした。そのころのボットレーンと言えばミスフォーチュンとケイトリンが非常に強く、最初にIPで購入したADCもフォーチュンでした。なので個人的にも思い入れのあるチャンピオンですね。

マークスマン(ADCのことです)として設計された彼女ですが、記憶にも新しいS6のWorlds以降、サポートとしてのピックが目立っていました。
ところが最近ではADCとしても彼女をピックするチームが出てきました。一方で依然としてサポートとしてピックすることも見られます。

なぜそのようにメタが移り変わっていったのか、その根元から考えていきましょう。


サポートとしてのフォーチュン



まず、そもそもなぜサポートフォーチュンがピックされるようになったかを解説していきます。
S6中盤以降トップとミッドのタワーが開始5分間堅くなり、スワップが有効な戦術ではなくなりました。
またファーストタワーボーナスが導入されました。
これはファーストブラッドのタワー版であり、なんと400Gものボーナスが得られるようになりました。

この2つの変更により、ボットレーンの至上課題は、レーニングフェイズを無難にこなして集団戦にフォーカスすることから、レーニングで相手を上回ってボットのファーストタワーを獲得する、ということに変わっていきました。

集団戦を見た時には、ブラウムやアリスターのようなタンクサポートがピール能力などの観点から優秀ですが、ことレーニングにおいてはハラス性能の高いメイジサポートのほうが優れています。

そこで浮上してきたのが、ザイラです。

ザイラはパッシブの変更以降、確保面やレーニングの強さやよりサポートとして視界の確保力が向上しました。
プラントの性能やアルティメットスキルである茨のゆりかごのゾーニング能力によって味方ジャングラーのダイブに合わせることもできます。
ボットレーンをプッシュしてジャングラーを呼び、ダイブを決めてキルを奪い、そのままファーストタワーにつなげるという、メタに最もマッチしたメイジサポート、というわけですね。

そんなわけでWorldsのweek1ではが猛威を振るいました。
そんな彼女に対抗するために考え出されたのが、サポートとしてフォーチュンをピックするというものでした。

はパッシブの効果によってザイラのプラントを2回のAAで倒すことが出来ます。
またザイラは非常に柔らかいサポートであり、ダブルアップ(Q)やレイニングバレット(E)でダメージ勝ちをすることもできます。
ダイブに合わせて遠距離からバレットタイム(R)で大きなダメージを出すこともできますし、カウンターというだけでなくメタにもマッチしたピックと言えるでしょう。

さて仕組みについての説明はこんなところで十分でしょう。
大切なことはにせよにせよ、レーンで勝ってファーストタワーを獲得する、というのが狙いのピックなのです。


10BANが導入後のドラフト事情



さてS7が始まり、競技シーンでは10BANが導入されました。
ここで簡単に10BANシステムのBAN/PICK順についておさらいしてみましょう。

従来通りの青側からスタートする6BAN

青側 1st pick

赤側 1st/2nd pick

青側 2nd/3rd pick

赤側 3rd pick

赤側からスタートする4BAN

赤側 4th pick

青側 4th/5th pick

赤側 5th pick

ここで重要なのがBANフェイスが2回に分割されたことによって、
チームとしては自分たちのピックしたチャンピオンのカウンターを2ndBANフェイズで消すことが出来るようになりました。

さて話をボットレーンに戻しましょう。メタは依然としてレーンで勝ってファーストタワーを獲得する、というものです。
あなたが青側のpickを担当する場合、どうしますか?

いくつか正解はありますが、その1つはフォーチュンをBANして、ザイラを1st pickする、です。

に唯一対抗できるチャンピオンはなので、これなら確実にレーンで有利を得ることが出来ますね。
実際こういった戦術を取っていたチームも多くありました。

しかしジェイスやライズなど、相手に渡したくないピックはほかにもあり、を必ずBANできるとも限りません。

さて今度は赤側の話です。
もオープンの時、どうドラフトを進めるべきでしょうか。

ザイラをファーストローテーション(赤側の1st/2nd pickのことです)で取ると、青側のセカンドローテーション(青側の2nd/3rd pick)でフォーチュンを当てられてしまいますね?

なので赤側はファーストローテーションではを保留します。

青側がを取ってきたら3rd pickでを取ればいいですし、

もしを取ってきたらマルザハールやカルマといったチャンピオンを出せばこちらの分がいいです。

両方を保留してきたらザイラを取って、2ndBANフェイズでフォーチュンをBANすればボットレーンの主導権を握れます。
というわけでボットレーンのイニシアチブはBAN/Pick面では赤側が握っているんですね。


7.2で脅威が変更になりADCフォーチュンが注目されるように



この状況を面白く思わない青側が対抗策として考え出したのが、フォーチュンをADCとしてpickするという案でした。

はスキルファイター寄りのADCであり、妖夢の霊剣などの脅威ビルドと相性が良いチャンピオンです。
脅威の変更とともに相対的に価値の上がった彼女をADCとしてピックしようということですね。

なによりこのプランの強みとしてボットレーンのイニシアチブを青側が握れる可能性が出てくるという点です。

前項で、赤側はファーストローテーションでを保留すると説明しました。
このドラフト戦術に対して、青側がを両方取るという事で対抗できるようになるわけです。

を取っておきながらそのカウンターを渡さない、BAN枠3つを自由に使える、といいことづくめですね。

そんなわけでADCフォーチュンが再び注目されるようになったわけです。

7.1~7.2はを赤側が必ずBANするという少し退屈なドラフトだったのですが、その中でのプロ間での創意工夫が垣間見られるピックといえるでしょう。

今週から様々なリージョンで7.3の競技が始まりますが、パッチ初期のOP探し、そしてパッチ後期の一周回ったメタBAN/Pickに注目しながらゲームを観戦してみてはいかがでしょうか。