プロシーンのニッチピック通信簿vol.5 アーゴット on LCK Final

September 10, 2018 by lol-cla管理人, Patch 8.15

突如としてシーンに登場した処刑人、アーゴットの強さにせまる
こんにちは。

仕事のパワースパイクが強力すぎてブログの更新が滞ってまして本当に申し訳ございません。
チーム構成編は現在半分ほど書きあがったのですが、残りの部分を書き上げる前にいま最もホットなチャンピオンについての記事を書こうと思い、筆を取った次第です。

そう、LCKFinalでシーンに颯爽と登場し(実は中国LPLや韓国2部のChallengersKoreaでもピックされていましたが)、まさかのPick/Ban率100%を記録した、アーゴットです。



なぜ直接的なバフを受けたわけでもない彼がまたシーンに戻ってきたのか、そしてなぜ解放の魔導書をキーストーンに選択するのか、

競技シーンのメタの変遷やも恐れた彼のチャンピオン性能の面から検証していこうと思います。

前半はアーゴットの話というよりもパッチ8.15のメタの変遷など、彼に直接関係ない話が続きますが、がピックされるようになる背景を知るためにも、是非読んでいただければなと思います。
(一応目次で飛ばすこともできるようにしてあります)

あと、本記事はトップレーンで起用することを念頭に解説しています。
GriffinのChovyはミッドでアーゴットを運用していましたが、おそらく世界的にはトップがメインになると思います。

さて、今回も長くなると思います。
素晴らしかったLCKファイナルのBo5をまだ見ていない方はそちらを先にご覧になってください。

動画はこちら(LCK Final KT vs GRF game1)

もう見終えた方は、その余韻を楽しみつつ、読んでいただければなと思います。

ちなみにこのシリーズは第5回目となっています。
以前の投稿はこちら。ちょっと昔のメタですが、読み物としては楽しめるかな、と思います。

第1回 ヴェル=コズ編(Link
第2回 スウェイン編(Link
第3回 ジンクス編(Link
第4回 リサンドラ編(Link




TPのナーフによるトップレーンの変化



パッチ8.14でテレポートがナーフを受け、クールダウンが300秒から360秒へと変更されました。

8.14直後こそそれほどトップレーンのメタに影響を及ぼしていなかったのですが、インフィニティエッジなどクリティカル系のアイテムにバフが入った8.15以降徐々にプロシーンがそれに「順応」してきた印象を受けています。

テレポートのクールダウンが6分ということは、トップレーンが一度不利を背負ったときのリカバリーが効きにくくなったことを意味します。

具体例で示すと、1回味方トップがガンクを受けて、敵ジャングルと味方トップのフラッシュが両方無くなったとします。

倒された味方トップはデスタイマーが終わるとでレーンに復帰するわけですが、
次、敵ジャングラーのがアップするときには、まだはクールダウン中なんですね。
のクールダウンは300秒)

ここで再びガンクを受けてデッドしてしまうと、でレーンに復帰することが出来ないわけです。

こののCD差、1分のタイムラグは競技シーンにおいては重く、ガングプランクをはじめとしたアイテム依存度の高いキャリー系トップレーナーをピックすると、ジャングラーにキャンプされてゲームから追い出されてしまう(大量のミニオンをロストして経験値差がつき、1v1が出来ない状況に追い込まれる)事態を招きかねません。

のピックに各チームが慎重になり始めると、このチャンピオンに頭を抑えられていたタンク勢、チョ=ガスやオーンが息を吹き返してきました。

そしてそれらに対して有利を取れるチャンピオンとして、ナーが採用され、8.15では彼がトップレーンの先出し安定のチャンピオンとして扱われ始めました。

このに対する対抗策の1つとしてピックされたのがクインです。

相棒の効果でレーン復帰やローミング速度を確保できるため、テレポートを持つ必要がなく、かわりにイグナイトを持つことで、対面を破壊し、スプリットプッシュ勝ちを狙うことが出来るチャンピオンです。

ちょっと風が吹けば桶屋が儲かる状態なので、ここまでの流れを整理しましょう。

① TPのナーフでなどのキャリー系が減った。

② などを苦手としていたなどのCCタンクが増えた。

③ などに有利を取れるの価値が上がり、それに勝てるなどが登場した。

もちろんドクター・ムンドやケネン、ジェイスなど様々なチャンピオンが複雑に絡み合ってはいるんですが、簡略化するとこんな感じです。

のナーフ1つでガラっとトップレーンの環境は変わったわけです。

このあたりの解説はパッチ8.14がリリースされた直後に、メタ予測と題してリクルート(@rikuruto_9)さんと対談記事を載せているので、よろしかったらどうぞ。

解説者たちのポストファンネリング時代のメタ予測【Patch8.14】

今読むと当たってるところも外れてるところもあるんですが、ビクターやジンクスなどLCKファイナルで登場したチャンピオンについても言及してあったりします。




ADCのメタ変化がトップレーンに及ぼした影響



LoLの競技シーンでは、1体のチャンピオンが異常に強くなったことで別のレーンに影響が出ることがあります。
パッチ8.15でのヴァルスは、それだけの存在感を持っています。

の問題点はリーサルテンポを持ったDPS型、秘儀の彗星を持ったポーク型に両対応が可能で、そのどちらにビルドを進めてもTier1の性能を発揮できる点です。

たとえばアッシュを取った場合は、ミッドゲームのエンゲージやキャッチに寄せていくことになりますし、カイ=サなら終盤の爆発的なDPSを活かすために試合時間を延ばす構成を目指すことになるわけですが、
は味方の構成に注文を付けないので自由なドラフトが可能なのです。

そのため、8.15前半ではがファーストピック候補になっていたわけですが、他のBan常連チャンピオン、タリヤやエイトロックスが研究され、ある程度オープンにしても対策可能ということが分かってくると、今度はが頻繁にBanされるようになりました。

こうなるとADCのピックで最優先されるのはカイ=サになります。

ラカンやタム・ケンチ、モルガナなどサポートチャンピオンが多くBanされるメタの中で、比較的Ban漏れしやすいアリスターとの相性が抜群で、この2体をセットでピックするチームが増えていきました。

1体のチャンピオンが目立ち始めるとカウンターが用意されるのがLoLの競技シーンです。
のカウンターとして白羽の矢が立ったのはトリスターナでした。

トリスターナは低レベル時からに対して単体ダメージ、射程面で有利に立て、お得意のキラーヴォイドによるダイブに対してもバスターショットで1回ディスエンゲージできるのでカウンターとして機能する、というわけです。

8.15でクリティカル系のアイテムの値段が下がったのも彼女にとっては大きな追い風でした。ストームレイザーで最低限のダメージを確保しつつ、の計3アイテム完成までの時間を稼ぐことが十分可能になりました。

と、いうわけで、8.15後半ではがBanされてというマッチアップになるドラフトが頻繁にみられるようになりました。

彼女たちは所謂レイトゲームキャリー、ゲーム後半に大ダメージを出すタイプのADC、ですから必然的に彼女たちのダメージアウトプットを補助するチャンピオンが必要になってきます。

その結果、トップレーンは中盤を支えつつ、最後はキャリーの壁になれるCCタンクが多く採用されるようになりました。
具体的にはオーンとチョ=ガスです。

ナーは純粋なタンクではありませんが、レーンでタンク相手に有利を作れる点や後半はイニシエートやピールが出来ることもあって、依然として採用されています。

逆にクインはタンクやに対して有利なピックとして開発されたものの、マークスマンタイプのトップレーナーは存在そのものが高リスクですし、スプリットプッシュ性能とプロテクトキャリー的なメタのアンバランスさもあってパッチ後半では姿を消していきました。




なぜアーゴットがメタに刺さっているのか



さて、ここまで延々と8.15のメタについて話してきましたがここからは本題、アーゴットがなぜメタに刺さるのか、というところに触れていこうと思います。

ここから読む人のために前2項の話をまとめると

テレポートが弱くなった。

カイ=サとトリスターナ、レイトゲームキャリーがADCの中でトップティアになった。

・結果、トップレーンはオーンなどのタンクか、ナーのようなオフタンクが中心になった。

といった感じです。

ではなぜアーゴットがメタに刺さっているのか、見ていきましょう。


・メタチャンピオンに対してレーンで有利が取れる



アーゴットは8.15のメタトップレーナーほぼすべてにレーンで有利を取ることができます。

元々このチャンピオンはレーン戦が強力なので当たり前といえば当たり前ですが、レーンで勝てるというのは競技シーンにおいても重要なファクターのひとつです。

ジャングラーの活動できる範囲が増えますし、トップレーンでアドバンテージを取ることが出来れば、リフトヘラルド獲得も容易になります。

トップレーンが1v1で勝ってくれることはタワー1本以上の価値があるのです。

この役割に関してはクインやランブルなどと同じです。


・ゲーム中盤はアーゴットの時間帯



ブラッククリーバーが完成した段階で、アーゴットのダメージ量は飛躍的に上昇します。
特にWのパージとの相性は抜群で、は彼のためにあるかのようなアイテムと言ってもいいくらいです。

ADCのメタがレイトゲーム寄りになっているので、アーゴットをピックしておけば、ゲーム中盤にはの代わりのDPS要因として活躍できます。

アーゴット自身が大量のダメージを生み出せるため、サイドレーンでタンクと1v1中に味方ジャングラーを介入させてキルを取る、といったプレイも容易です。

早い時間帯のバロンも行いやすく、味方のADCのパワースパイクを待つもよし、作った有利を広げる動きも行える万能なチャンピオンになっています。


・ゲーム後半はダイバーへのカウンターとして機能



メタがレイトゲームキャリー寄りになると、ザックやカミールといったバックラインに圧力をかけられるチャンピオンの価値が上がります。

トリスターナのようなADCは、さっさと倒してしまわないと結局集団戦をキャリーされてしまうことが多いですからね。

こういったダイバーと呼ばれるチャンピオンに対してアーゴットがカウンターとして機能します。

アーゴットの弱点はアルティメットのデスグラインダーを除くと、近距離にしかダメージを与えることが出来ない点ですが、ダイバーたちは勝手にアーゴットのところに飛び込んできてくれるわけですから、まさに「飛んで火にいる夏の虫」というやつです。

Qのコラプトシェルでスローを入れながら、パージを発動して相手をズタズタにするもよし、Eのディスデインでダイバーをキャリーから遠ざけるもよし、と受け手が広いです。

複数体のチャンピオンがダイブしてきても、1人をフォーカスして体力を削ってしまえば、の処刑発動で相手のダイバーたちを文字通り恐怖のどん底へと叩き落としてやれるわけです。

また純粋なダイバーではないですが、メタ上位に位置するオラフに対して強いのも見逃せません。

ラグナロクでCCを無効化して突っ込んでくる恐怖の存在ですが、はCCに頼らずダメージを出すことが出来るチャンピオンですし、の得意とする低ヘルスからの殴り合い性能に対してもの処刑がカウンターになっています。

このダイバーやへのアンチ性能はドラフト面でも非常に強力で、アーゴットは、先出ししてもレーンでのカウンターを取られるリスクがかなり低く、さらに相手のダイバーのピックを抑止することもできるという、ワイルドカードになっているのです。

逆に自分たちはダイブ性能の高いチャンピオンを一方的に抑えられるわけですから、イニシエート力がそれほど高くないアーゴットの性能をドラフト面の強さで補っている、ともいえるでしょう。




なぜ解放の魔導書を持つのか



アーゴットの登場、それ自体も驚きだったのですが、そのキーストーンに驚かれた方も多いはずです。

解放の魔導書は、一時トップレーンの必須キーストーンだった時代もありますが、リメイクされ、以降はサポートがローム性能や戦闘能力を上乗せするために時々採用する程度になっていました。

それを何故いまアーゴットが採用しているのか、これも周りのメタに影響されてのものなのです。


タイムワープトニックの時代



タイムワープトニックは天啓パスの3列目にあるルーンで、効果はポーション類の効果時間を20%増やし、その間移動速度が5%上昇するというものです。

現在このルーンの評価が非常に高く、を入れて、コラプトポーションをスタートアイテムにするというビルドがトップ、ミッドを中心に(時にはADCが選択する場合もあるほどに)大流行しています。

の自動効果もあって、この2つを持っていないとレーンでのダメージトレードに勝つことが難しくなってしまうほどです。

このスタートは、ドランシールドや