プロシーンのニッチピック通信簿vol.5 アーゴット on LCK Final
突如としてシーンに登場した処刑人、アーゴットの強さにせまる
こんにちは。
仕事のパワースパイクが強力すぎてブログの更新が滞ってまして本当に申し訳ございません。
チーム構成編は現在半分ほど書きあがったのですが、残りの部分を書き上げる前にいま最もホットなチャンピオンについての記事を書こうと思い、筆を取った次第です。
そう、LCKFinalでシーンに颯爽と登場し(実は中国LPLや韓国2部のChallengersKoreaでもピックされていましたが)、まさかのPick/Ban率100%を記録した、
アーゴットです。

なぜ直接的なバフを受けたわけでもない彼がまたシーンに戻ってきたのか、そしてなぜ
解放の魔導書をキーストーンに選択するのか、
競技シーンのメタの変遷や
も恐れた彼のチャンピオン性能の面から検証していこうと思います。
前半はアーゴットの話というよりもパッチ8.15のメタの変遷など、彼に直接関係ない話が続きますが、
がピックされるようになる背景を知るためにも、是非読んでいただければなと思います。
(一応目次で飛ばすこともできるようにしてあります)
あと、本記事はトップレーンで起用することを念頭に解説しています。
GriffinのChovyはミッドでアーゴットを運用していましたが、おそらく世界的にはトップがメインになると思います。
さて、今回も長くなると思います。
素晴らしかったLCKファイナルのBo5をまだ見ていない方はそちらを先にご覧になってください。
動画はこちら(LCK Final KT vs GRF game1)
もう見終えた方は、その余韻を楽しみつつ、読んでいただければなと思います。
ちなみにこのシリーズは第5回目となっています。
以前の投稿はこちら。ちょっと昔のメタですが、読み物としては楽しめるかな、と思います。
第1回
ヴェル=コズ編(Link)
第2回
スウェイン編(Link)
第3回
ジンクス編(Link)
第4回
リサンドラ編(Link)
パッチ8.14で
テレポートがナーフを受け、クールダウンが300秒から360秒へと変更されました。
8.14直後こそそれほどトップレーンのメタに影響を及ぼしていなかったのですが、
インフィニティエッジなどクリティカル系のアイテムにバフが入った8.15以降徐々にプロシーンがそれに「順応」してきた印象を受けています。
テレポートのクールダウンが6分ということは、トップレーンが一度不利を背負ったときのリカバリーが効きにくくなったことを意味します。
具体例で示すと、1回味方トップがガンクを受けて、敵ジャングルと味方トップの
フラッシュが両方無くなったとします。
倒された味方トップはデスタイマーが終わると
でレーンに復帰するわけですが、
次、敵ジャングラーの
がアップするときには、まだ
はクールダウン中なんですね。
(
のクールダウンは300秒)
ここで再びガンクを受けてデッドしてしまうと、
でレーンに復帰することが出来ないわけです。
この
と
のCD差、1分のタイムラグは競技シーンにおいては重く、
ガングプランクをはじめとしたアイテム依存度の高いキャリー系トップレーナーをピックすると、ジャングラーにキャンプされてゲームから追い出されてしまう(大量のミニオンをロストして経験値差がつき、1v1が出来ない状況に追い込まれる)事態を招きかねません。
のピックに各チームが慎重になり始めると、このチャンピオンに頭を抑えられていたタンク勢、
チョ=ガスや
オーンが息を吹き返してきました。
そしてそれらに対して有利を取れるチャンピオンとして、
ナーが採用され、8.15では彼がトップレーンの先出し安定のチャンピオンとして扱われ始めました。
この
に対する対抗策の1つとしてピックされたのが
クインです。
は
相棒の効果でレーン復帰やローミング速度を確保できるため、テレポートを持つ必要がなく、かわりに
イグナイトを持つことで、対面を破壊し、スプリットプッシュ勝ちを狙うことが出来るチャンピオンです。
ちょっと風が吹けば桶屋が儲かる状態なので、ここまでの流れを整理しましょう。
① TPのナーフで
などのキャリー系が減った。
②
などを苦手としていた
などのCCタンクが増えた。
③
などに有利を取れる
の価値が上がり、それに勝てる
などが登場した。
もちろん
ドクター・ムンドや
ケネン、
ジェイスなど様々なチャンピオンが複雑に絡み合ってはいるんですが、簡略化するとこんな感じです。
のナーフ1つでガラっとトップレーンの環境は変わったわけです。
このあたりの解説はパッチ8.14がリリースされた直後に、メタ予測と題してリクルート(@rikuruto_9)さんと対談記事を載せているので、よろしかったらどうぞ。
解説者たちのポストファンネリング時代のメタ予測【Patch8.14】
今読むと当たってるところも外れてるところもあるんですが、
ビクターや
ジンクスなどLCKファイナルで登場したチャンピオンについても言及してあったりします。
LoLの競技シーンでは、1体のチャンピオンが異常に強くなったことで別のレーンに影響が出ることがあります。
パッチ8.15での
ヴァルスは、それだけの存在感を持っています。
の問題点は
リーサルテンポを持ったDPS型、
秘儀の彗星を持ったポーク型に両対応が可能で、そのどちらにビルドを進めてもTier1の性能を発揮できる点です。
たとえば
アッシュを取った場合は、ミッドゲームのエンゲージやキャッチに寄せていくことになりますし、
カイ=サなら終盤の爆発的なDPSを活かすために試合時間を延ばす構成を目指すことになるわけですが、
は味方の構成に注文を付けないので自由なドラフトが可能なのです。
そのため、8.15前半では
がファーストピック候補になっていたわけですが、他のBan常連チャンピオン、
タリヤや
エイトロックスが研究され、ある程度オープンにしても対策可能ということが分かってくると、今度は
が頻繁にBanされるようになりました。
こうなるとADCのピックで最優先されるのは
カイ=サになります。
ラカンや
タム・ケンチ、
モルガナなどサポートチャンピオンが多くBanされるメタの中で、比較的Ban漏れしやすい
アリスターとの相性が抜群で、この2体をセットでピックするチームが増えていきました。
1体のチャンピオンが目立ち始めるとカウンターが用意されるのがLoLの競技シーンです。
のカウンターとして白羽の矢が立ったのは
トリスターナでした。
トリスターナは低レベル時から
に対して単体ダメージ、射程面で有利に立て、
お得意の
キラーヴォイドによるダイブに対しても
バスターショットで1回ディスエンゲージできるのでカウンターとして機能する、というわけです。
8.15でクリティカル系のアイテムの値段が下がったのも彼女にとっては大きな追い風でした。
ストームレイザーで最低限のダメージを確保しつつ、
の計3アイテム完成までの時間を稼ぐことが十分可能になりました。
と、いうわけで、8.15後半では
がBanされて
対
というマッチアップになるドラフトが頻繁にみられるようになりました。
彼女たちは所謂レイトゲームキャリー、ゲーム後半に大ダメージを出すタイプのADC、ですから必然的に彼女たちのダメージアウトプットを補助するチャンピオンが必要になってきます。
その結果、トップレーンは中盤を支えつつ、最後はキャリーの壁になれるCCタンクが多く採用されるようになりました。
具体的には
オーンと
チョ=ガスです。
ナーは純粋なタンクではありませんが、レーンでタンク相手に有利を作れる点や後半はイニシエートやピールが出来ることもあって、依然として採用されています。
逆に
クインはタンクや
に対して有利なピックとして開発されたものの、マークスマンタイプのトップレーナーは存在そのものが高リスクですし、スプリットプッシュ性能とプロテクトキャリー的なメタのアンバランスさもあってパッチ後半では姿を消していきました。
なぜ
さて、ここまで延々と8.15のメタについて話してきましたがここからは本題、
アーゴットがなぜメタに刺さるのか、というところに触れていこうと思います。
ここから読む人のために前2項の話をまとめると
・
テレポートが弱くなった。
・
カイ=サと
トリスターナ、レイトゲームキャリーがADCの中でトップティアになった。
・結果、トップレーンは
オーンなどのタンクか、
ナーのようなオフタンクが中心になった。
といった感じです。
ではなぜアーゴットがメタに刺さっているのか、見ていきましょう。
アーゴットは8.15のメタトップレーナーほぼすべてにレーンで有利を取ることができます。
元々このチャンピオンはレーン戦が強力なので当たり前といえば当たり前ですが、レーンで勝てるというのは競技シーンにおいても重要なファクターのひとつです。
ジャングラーの活動できる範囲が増えますし、トップレーンでアドバンテージを取ることが出来れば、リフトヘラルド獲得も容易になります。
トップレーンが1v1で勝ってくれることはタワー1本以上の価値があるのです。
この役割に関しては
クインや
ランブルなどと同じです。
ブラッククリーバーが完成した段階で、アーゴットのダメージ量は飛躍的に上昇します。
特にWの
パージとの相性は抜群で、
は彼のためにあるかのようなアイテムと言ってもいいくらいです。
ADCのメタがレイトゲーム寄りになっているので、アーゴットをピックしておけば、ゲーム中盤には
や
の代わりのDPS要因として活躍できます。
アーゴット自身が大量のダメージを生み出せるため、サイドレーンでタンクと1v1中に味方ジャングラーを介入させてキルを取る、といったプレイも容易です。
早い時間帯のバロンも行いやすく、味方のADCのパワースパイクを待つもよし、作った有利を広げる動きも行える万能なチャンピオンになっています。
メタがレイトゲームキャリー寄りになると、
ザックや
カミールといったバックラインに圧力をかけられるチャンピオンの価値が上がります。
トリスターナのようなADCは、さっさと倒してしまわないと結局集団戦をキャリーされてしまうことが多いですからね。
こういったダイバーと呼ばれるチャンピオンに対してアーゴットがカウンターとして機能します。
アーゴットの弱点はアルティメットの
デスグラインダーを除くと、近距離にしかダメージを与えることが出来ない点ですが、ダイバーたちは勝手にアーゴットのところに飛び込んできてくれるわけですから、まさに「飛んで火にいる夏の虫」というやつです。
Qの
コラプトシェルでスローを入れながら、
パージを発動して相手をズタズタにするもよし、Eの
ディスデインでダイバーをキャリーから遠ざけるもよし、と受け手が広いです。
複数体のチャンピオンがダイブしてきても、1人をフォーカスして体力を削ってしまえば、
の処刑発動で相手のダイバーたちを文字通り恐怖のどん底へと叩き落としてやれるわけです。
また純粋なダイバーではないですが、メタ上位に位置する
オラフに対して強いのも見逃せません。
は
ラグナロクでCCを無効化して突っ込んでくる恐怖の存在ですが、
はCCに頼らずダメージを出すことが出来るチャンピオンですし、
の得意とする低ヘルスからの殴り合い性能に対しても
の処刑がカウンターになっています。
このダイバーや
へのアンチ性能はドラフト面でも非常に強力で、アーゴットは、先出ししてもレーンでのカウンターを取られるリスクがかなり低く、さらに相手のダイバーのピ
仕事のパワースパイクが強力すぎてブログの更新が滞ってまして本当に申し訳ございません。
チーム構成編は現在半分ほど書きあがったのですが、残りの部分を書き上げる前にいま最もホットなチャンピオンについての記事を書こうと思い、筆を取った次第です。
そう、LCKFinalでシーンに颯爽と登場し(実は中国LPLや韓国2部のChallengersKoreaでもピックされていましたが)、まさかのPick/Ban率100%を記録した、


なぜ直接的なバフを受けたわけでもない彼がまたシーンに戻ってきたのか、そしてなぜ

競技シーンのメタの変遷や

前半はアーゴットの話というよりもパッチ8.15のメタの変遷など、彼に直接関係ない話が続きますが、

(一応目次で飛ばすこともできるようにしてあります)
あと、本記事はトップレーンで起用することを念頭に解説しています。
GriffinのChovyはミッドでアーゴットを運用していましたが、おそらく世界的にはトップがメインになると思います。
さて、今回も長くなると思います。
素晴らしかったLCKファイナルのBo5をまだ見ていない方はそちらを先にご覧になってください。
動画はこちら(LCK Final KT vs GRF game1)
もう見終えた方は、その余韻を楽しみつつ、読んでいただければなと思います。
ちなみにこのシリーズは第5回目となっています。
以前の投稿はこちら。ちょっと昔のメタですが、読み物としては楽しめるかな、と思います。
第1回

第2回

第3回

第4回

TPのナーフによるトップレーンの変化
パッチ8.14で

8.14直後こそそれほどトップレーンのメタに影響を及ぼしていなかったのですが、


具体例で示すと、1回味方トップがガンクを受けて、敵ジャングルと味方トップの

倒された味方トップはデスタイマーが終わると

次、敵ジャングラーの


(

ここで再びガンクを受けてデッドしてしまうと、

この






そしてそれらに対して有利を取れるチャンピオンとして、

この





ちょっと風が吹けば桶屋が儲かる状態なので、ここまでの流れを整理しましょう。
① TPのナーフで

②


③



もちろん




このあたりの解説はパッチ8.14がリリースされた直後に、メタ予測と題してリクルート(@rikuruto_9)さんと対談記事を載せているので、よろしかったらどうぞ。
解説者たちのポストファンネリング時代のメタ予測【Patch8.14】
今読むと当たってるところも外れてるところもあるんですが、


ADCのメタ変化がトップレーンに及ぼした影響
LoLの競技シーンでは、1体のチャンピオンが異常に強くなったことで別のレーンに影響が出ることがあります。
パッチ8.15での




たとえば



そのため、8.15前半では




こうなるとADCのピックで最優先されるのは





1体のチャンピオンが目立ち始めるとカウンターが用意されるのがLoLの競技シーンです。







8.15でクリティカル系のアイテムの値段が下がったのも彼女にとっては大きな追い風でした。



と、いうわけで、8.15後半では



彼女たちは所謂レイトゲームキャリー、ゲーム後半に大ダメージを出すタイプのADC、ですから必然的に彼女たちのダメージアウトプットを補助するチャンピオンが必要になってきます。
その結果、トップレーンは中盤を支えつつ、最後はキャリーの壁になれるCCタンクが多く採用されるようになりました。
具体的には



逆に


なぜ
アーゴットがメタに刺さっているのか
さて、ここまで延々と8.15のメタについて話してきましたがここからは本題、

ここから読む人のために前2項の話をまとめると
・

・


・結果、トップレーンは


といった感じです。
ではなぜアーゴットがメタに刺さっているのか、見ていきましょう。
・メタチャンピオンに対してレーンで有利が取れる
アーゴットは8.15のメタトップレーナーほぼすべてにレーンで有利を取ることができます。
元々このチャンピオンはレーン戦が強力なので当たり前といえば当たり前ですが、レーンで勝てるというのは競技シーンにおいても重要なファクターのひとつです。
ジャングラーの活動できる範囲が増えますし、トップレーンでアドバンテージを取ることが出来れば、リフトヘラルド獲得も容易になります。
トップレーンが1v1で勝ってくれることはタワー1本以上の価値があるのです。
この役割に関しては


・ゲーム中盤はアーゴットの時間帯

特にWの


ADCのメタがレイトゲーム寄りになっているので、アーゴットをピックしておけば、ゲーム中盤には


アーゴット自身が大量のダメージを生み出せるため、サイドレーンでタンクと1v1中に味方ジャングラーを介入させてキルを取る、といったプレイも容易です。
早い時間帯のバロンも行いやすく、味方のADCのパワースパイクを待つもよし、作った有利を広げる動きも行える万能なチャンピオンになっています。
・ゲーム後半はダイバーへのカウンターとして機能
メタがレイトゲームキャリー寄りになると、



こういったダイバーと呼ばれるチャンピオンに対してアーゴットがカウンターとして機能します。
アーゴットの弱点はアルティメットの

Qの



複数体のチャンピオンがダイブしてきても、1人をフォーカスして体力を削ってしまえば、

また純粋なダイバーではないですが、メタ上位に位置する






このダイバーや
