Worlds2018・準決勝を読み解く3つのキーワード
いよいよbest4、準決勝の展望やメタを読み解くためのポイント
こんにちは。
いよいよWorldsも大詰め、今週末には準決勝、そして11月3日には決勝と残すところ3試合となりました。
今年は波乱の年といってもいいでしょう。SK Telecom T1は国内の予選を抜けられず、去年の覇者GEN.Gはグループステージで1勝5敗と惨敗。
そして準々決勝では残っていた優勝候補、KT Rolster、Royal Never Giveupが破れ、AfreecaFreecsも敗れたため、開催地の韓国のチームがベスト8で姿を消すという、
先月の自分にこの結果を教えても、まず信じない、そんな「大荒れ」のWorldsとなりました。
そこで今回はBest4の試合をより一層楽しむための3つのキーワード、そして準決勝のマッチアップの展望といった内容でお送りしようと思います。
(本当は金曜までにアップしたかったんですが、体調不良でなかなか記事が書けませんでした。すみません)
以前チーム構成の記事でオールイン構成について書いたことがあります。
(チームゲーム初心者のためのチーム構成解説~オールイン編~)
エンゲージすることだけに特化して、一気に相手を制圧する構成ですね。
こういったチーム構成はいままでのプロシーンだとあまり通用してきませんでした。
というのも、例えばマルファイトのアンストッパブルフォースは強力なエンゲージツールですが、プロレベルになると簡単に避けられてしまいますし、
そもそもサイドレーンのコントロールさえ取ってしまえば相手は集団戦を起こす機会を作れません。
さらに一度仕掛けられたとしても、それを跳ね返すだけのディスエンゲージツールがあったため、シンプルなエンゲージ構成というのは上手く機能しなかったのです。
しかし本大会では、ノクターンのような直線的なエンゲージツールが好んでピックされ結果を残しています。
実際準々決勝ではノクターンは17試合中16試合でピック又はバンされていました。
これはボットレーンを中心にミッドシーズンアップデート以降、基礎ステータスに大きくナーフが入ったことや全体的なナーフ調整の影響で、一度先行した相手に対するカウンタープレイの余地が減ってしまったことが要因のひとつといえるでしょう。
もちろんミスをせずにプレイしつづければ、カウンター構成は機能すると思いますが、チャンピオンのナーフの影響で許容できるミスのラインがよりシビアになってしまった、といった感じです。
シンプルな構成をピックして、ミスなくチームの狙いを遂行して勝つ、というのが1つ目のキーワード、「シンプルに」の指すところです。
具体的には、エンゲージ構成とスノーボール構成の2つがシンプルなピックとして好まれています。
エンゲージ構成の方は、ノクターンの他にもサイオンやオーン、リサンドラ、ラカンといったエンゲージツールに、エイトロックスやアーゴット、イレリアといった集団戦で活躍しやすいダメージディーラーを組み合わせるのが今大会のトレンドです。
一方スノーボール構成も好成績を残しています。
アリスター以外のサポートが弱く、サポートジャングラーもグラガス以外まともなチャンピオンがいないので、一度ミッドのアサシンがスノーボールしたときにそれを止めることが難しくなっているのです。
具体的にはルブランやアカリを育てる方針のチームですね。
他にもボットレーンからスノーボールしていくルシアンというピックも増えてきました。
こういった構成ではジャングルには序盤からガンクできるリー・シンやシン・ジャオなどが選ばれてますね。
この2つの構成以外に、ゾーニング・カイト構成を出すという動きも準決勝では見られました。
トップのやといったタンクに対して、スウェインやビクターといった少し堅めでゾーニング出来るメイジを出して、相手に集団戦の形を取らせないというコンセプトです。
代表的なゲームを見てみましょう。
FNC vs EDGのgame2の試合時間14:40からのインファーナルドレイクを巡った集団戦を見てみましょう。まずは両チームの構成から。
EDGの構成はや、終盤はといったバックラインに飛び込むチャンピオンをとのグローバルウルトでサポートするエンゲージ寄りの構成です。
一方FNCはすべてがゾーニングスキルを持っている強烈なゾーニング構成になっています。
一度相手もゾーニングしてしまえばシヴィアは安全な位置から大きなダメージを与えることができますし、追撃やカイトのためのR戦姫の号令が機能しやすいでしょう。
さて問題の集団戦です。
(動画はこちら)
ドレイクを先に触ったEDGに対して、FNC Bwipo選手のがプレッシャーをかけにいったところから集団戦が始まりました。
は一度捕まるものの、Qのパワーブラストのシールドに加え、既に完成していたアイスボーンガントレットのお陰もあってある程度の固さがあります。
援護に駆け付けたのR氷河の裂溝とのWとRの3つのゾーニングスキルが同時に発動されて、とは完全に集団戦から切り離されてしまいました。
一方は完全にフリーでダメージが出せる状況です。
このあと裏から回り込んでいたが孤立したバックラインを破壊し、FNCは1-5でエース獲得。
そのままミッドの1stタワーの獲得にまでつなげ試合の優位を決定付けた集団戦となりました。
グループステージではこの手のゾーニング構成を選んできたチームはあまりいなかったので、新たなチーム構成の登場が残り3試合でどういったアクセントとなってくるのか楽しみです。
私とリクルートさんでWorlds開幕前に、このWorldsではパワースパイクの早いチャンピオンが評価を挙げるんじゃないか、ということを予想した対談記事をアップしました。
(解説者たちのWorlds2018メタ予測【Patch8.19】)
結果としてこの予想に近いところにメタが収束してきたのかな、というのは自画自賛が過ぎますが(トップレーンのメタは盛大に外しました)週が進むごとに全体的にパワースパイクが早いチャンピオンが好まれるようになってきました。
その傾向は特にADCのピック・勝率に表れています。
Play-Inステージで主役だったカイ=サですが、先週行われた準々決勝では勝率25%とかなり「やられた」結果となりました。
かわりに良い結果を残したのはザヤとルシアンです。
ザヤはパワースパイクが速いわけではないのですが、ミッドのアサシンをスノーボールさせる構成においては自己ピール能力が高くチーム全体のピール量が少なくても安全にプレイしやすい、エンゲージ構成に入れるならラカンとの組み合わせが強いと、2大メタ構成のどちらにもマッチするチャンピオンといえるでしょう。
一方ルシアンはいまのメタでボットレーンからスノーボールしていくことを狙える唯一のチャンピオンです。
グループステージではやや結果が芳しくありませんでしたが、よりゲームテンポが速く、そしてアグレッシブなジャングラーがピックされるようになってきた、というのが彼にとっての追い風なのでしょう。
そのアグレッシブなジャングラーの代表格がシン・ジャオです。
彼は準決勝で8試合ピックされましたが、そのうち6試合でレベル3までにガンクを行っていて、さらにそのうち4回はファーストブラッドに絡むと、まさにアグレッシブなプレイスタイルでチームに貢献しています。
が育つことで、彼は少数戦のきっかけを作るのが得意なチャンピオンということもあって、どんどんと戦闘を起こし、自分たちからリードを広げていくことが出来るわけです。
その積極的、偶発的な少数戦のなかでルシアンやアカリ、シンドラといったスノーボールが出来るレーナーたちにキルが転がり込めば、あっという間にゲームが崩壊する、そういったメタになっていることも、こういったアグレッシブなジャングラーが好まれる理由になっています。
RNG-G2のGame2なんてまさにそういった展開でしたね。
(動画はこちら)
ゲーム時間16:20~の偶発的な戦闘の中で一番キルを渡したくないアカリにキルが入ってしまったシーン。このときはRNG側でしたが。
積極的なプレイで序盤を制して、パワースパイクの早いチャンピオンたちで自分たちの得意な形に持ち込んで勝つ、というのが2つ目のキーワード、「アグレッシブに」の意味合いです。
LoLの用語に「Comfort Pick」というものがあります
プレイヤーが得意とするチャンピオン、プレイしやすいチャンピオンをピックすることを指す言葉ですが、まさに本大会はこのコンフォートピックが輝いた大会と言えるでしょう。
DFMのCeros選手がEDG戦でハイマーディンガーを3連投したシーンが記憶に残ってる方も多いんじゃないでしょうか。
あの時点ではメタ外のチャンピオンだから相手が対策を取れていないことを狙ったのかな、と思いながらみていましたが、
「コンフォートピックをすることで選手のパフォーマンスを向上させることがこのメタにおいては重要だ」、というのがグループステージ以降はっきりと見えてきました。
それを世界中に知らしめたのはVIT Jiizuke選手のエコーでした。
ハイライト動画
確かにシンドラに対してエコーはカウンターですが多くの視聴者は(おそらくコーチやプレイヤーも)このメタ外のチャンピオンをWorldsの舞台で、よりにもよって去年の覇者であるGen.Gに対して出すなんで思ってもみなかったでしょう。
しかし蓋を開けてみればは大活躍、そしてADCのテレポートバックドアというEUらしい戦法による大逆転で大波乱を巻き起こしたわけです。
他にもG2 Hjarnan選手の、FNC Bwipo選手のスウェインなど、Worlds2018でのEUの躍進の裏にはこのコンフォートピックが好影響を与えているのは間違いないでしょう。
EULCSはメタ外のピックに積極的なリージョンです。世界の舞台でもFNC Rekkles選手のケネンADCなんかが有名ですよね。
Patch8.19は前述の通り、全体的なチャンピオンパワーが低いパッチになっています。
その結果、1stティアのチャンピオンと選手にとってコンフォートなメタ外チャンピオンのパワー差が小さく、そのギャップがプレイのパフォーマンス次第で十分埋まる状況だった、というわけです。
準々決勝でも、FNC Hylissang選手がサポートのトップティアであるアリスターをピックしてパフォーマンスがいまいちだったことを受けて、game3ではがオープンなのにも関わらずコンフォートなブラウムに切り替えたシーンが印象的でした。
メタに従ってピックを変えていくことよりも、選手のパフォーマンス次第では少し弱いチャンピオンでもピック候補に入れる、というEUの特徴がうまい具合に作用した結果がベスト4にEUチームが2チームも残った要因の1つだと考えています。
常日ごろから「コンフォートに」ピックしてきたリージョンが日の目をみた、ということです。
さてここからは軽く準決勝の展望について書いていこうと思います。
3つのキーワードに加え具体的なマッチアップやどんなチャンピオンがカギを握ってきそうか、といった部分にも触れながら見ていこうと思います。
G2はEULCSの時からボットレーンが弱点と言われ続けてきました。
準々決勝のRNG戦でも(相手が世界最強ボットレーンUzi、Ming両選手相手とはいえ)毎試合苦しい展開になりながらピックを工夫してしのいで、トップ・ミッドのサイドをスノーボールさせるという作戦で勝ってきました。
準決勝でもIGとしてはG2のボットレーンに圧力をかけつつ、top/midにどれだけキャリーさせないピックを渡せるか、G2としてはその逆を行うことになりそうです。
G2は手札をこそ見せたもののヴァルスやジンといったチャンピオンをG2 Hjarnan選手が選択しつつ、G2 Wadid選手にピールが出来るサポートを渡すというドラフトを組むのはさほど難しくないので、
IG JackeyLove選手・Baolan選手の強いボットデュオがルシアンなど積極的なチャンピオンを採用して2v2のところでG2を破壊しにいけるのかといった点が見どころです。
G2 Perkz選手とIG Rookie選手の両ミッドレーナーはキャリー力が高いプレイヤーで、G2 JankosとIG Ningはどちらもアグレッシブなプレースタイルのジャングラーなので、ミッド・ジャングルの2v2で戦いが起きたときに強いピックというのも重要なファクターになりそうです。
2v2のところで強いシンドラ、に対して強くスノーボールしやすいルブランは当然B/P候補筆頭になるでしょう。
あとドラフト面ではトップレーナーがライズをつかえるかが重要そうです。
はやに対して後出し出来て、ミッドとのフレックスでドラフトを優位に進めやすい潤滑油的な存在です。
パワースパイクは遅いもののガンク合わせは序盤から強力なので、アグレッシブなジャングラーというトレンドにもマッチしてます。
G2 Wunder、IG Duke両選手は共に今大会でピックした実績があって(TheShyもレギュラーシーズン中にはピックしている)IG-G2ではこのチャンピオンをどちらが取るのかにも注目です。
FNCとC9は両チームともボットが強く、ミッドがキャリープレイヤーでトップはタンクとメイジ・ファイター系をバランスよくピックできると共通点が多いチームです。
少し違う点をあげるとすれば、ミッドのピック傾向でしょう。
FNC Capsは本大会でサポーティブなミッドをプレイせず、11game中近接タイプのチャンピオンがなんと8回ミッドレーナーとは思えない偏り方をしています。
唯一サポーティブ寄りなスウェインをピックした試合ではパフォーマンスがあまりよくありませんでした。
C9 Jensenはガリオ、ジリアン、グレイシャルアーリといったサポートタイプから、バリバリのキャリータイプのルブランまで幅広くこなしています。
これはFNC Broxahがガンクタイプのチャンピオンを多くピックしているのに対して、
C9 SvenskerenがLV6ジャングラーのノクターンやタリヤ、グレイブスなどディーラータイプのチャンプをピックしているところにも表れていると言えるでしょう。
個人的にはFNC-C9ではjgのピックに注目。
準々決勝で主役になったアグレッシブなジャングラーシン・ジャオ、それに対抗できそうなリー・シン。
C9 Svenskeren、FNC Broxah2選手ともこの2チャンプを得意としているので、この2体以外にほぼBANされそうな、そしてそれらを片方BANされたときにどのようなピックをしてくるのかが注目です。
FNC Broxah選手のエリスは、前回のピックではLv1でこけてゲームに参加できませんでした。
が、に対抗できるポテンシャルはあるとおもうので、が消された場合、もう1度登板機会があるかもしれません。
C9はミッドのFNC Caps選手に対してBANを割いてくることが予想されるので、FNCとしてはサイドレーンで勝ちに行くプランも考えてきそうです。
そうなったとき、FNC Bwipo選手のスウェイン、Hylissang選手のブラウムとFNCの強力なコンフォートピックに対してC9が解答を用意できているのかも見どころのひとつでしょう。
トップのC9 Licorice選手はヘカリムやシンジド、クレッドなどメタ外のチャンピオンも使いこなすプレイヤーなので、彼の隠し玉にも注目です。
いかがだったでしょうか。
準決勝の展望に関してはあえて勝敗予想は載せませんでした。
競った内容になりそう、というのもありますが、私個人が純粋に楽しみたい気持ちからです。
どちらかが勝つって書いてしまうとフラットな気持ちで見られなくなってしまいますからね。
それくらい今年のWorldsは本当に、面白いです。
さて、またメタ解説に終始してしまいました。
観戦記みたいな内容の方が需要があるのかもしれませんが、今年はスケジュールが詰まっていることもあってテーマはみつけるもののなかなか煮詰めきれないままここまで来てしまいました。
Worlds終了後、印象に残ったゲームの解説記事なんかも書いてみたいですね。
面白かったらシェア等お願いします。次の記事のリリース日が早まる可能性があがります。
いよいよWorldsも大詰め、今週末には準決勝、そして11月3日には決勝と残すところ3試合となりました。
今年は波乱の年といってもいいでしょう。SK Telecom T1は国内の予選を抜けられず、去年の覇者GEN.Gはグループステージで1勝5敗と惨敗。
そして準々決勝では残っていた優勝候補、KT Rolster、Royal Never Giveupが破れ、AfreecaFreecsも敗れたため、開催地の韓国のチームがベスト8で姿を消すという、
先月の自分にこの結果を教えても、まず信じない、そんな「大荒れ」のWorldsとなりました。
そこで今回はBest4の試合をより一層楽しむための3つのキーワード、そして準決勝のマッチアップの展望といった内容でお送りしようと思います。
(本当は金曜までにアップしたかったんですが、体調不良でなかなか記事が書けませんでした。すみません)
キーワード1:「シンプルに」
以前チーム構成の記事でオールイン構成について書いたことがあります。
(チームゲーム初心者のためのチーム構成解説~オールイン編~)
エンゲージすることだけに特化して、一気に相手を制圧する構成ですね。
こういったチーム構成はいままでのプロシーンだとあまり通用してきませんでした。
というのも、例えばマルファイトのアンストッパブルフォースは強力なエンゲージツールですが、プロレベルになると簡単に避けられてしまいますし、
そもそもサイドレーンのコントロールさえ取ってしまえば相手は集団戦を起こす機会を作れません。
さらに一度仕掛けられたとしても、それを跳ね返すだけのディスエンゲージツールがあったため、シンプルなエンゲージ構成というのは上手く機能しなかったのです。
しかし本大会では、ノクターンのような直線的なエンゲージツールが好んでピックされ結果を残しています。
実際準々決勝ではノクターンは17試合中16試合でピック又はバンされていました。
これはボットレーンを中心にミッドシーズンアップデート以降、基礎ステータスに大きくナーフが入ったことや全体的なナーフ調整の影響で、一度先行した相手に対するカウンタープレイの余地が減ってしまったことが要因のひとつといえるでしょう。
もちろんミスをせずにプレイしつづければ、カウンター構成は機能すると思いますが、チャンピオンのナーフの影響で許容できるミスのラインがよりシビアになってしまった、といった感じです。
シンプルな構成をピックして、ミスなくチームの狙いを遂行して勝つ、というのが1つ目のキーワード、「シンプルに」の指すところです。
具体的には、エンゲージ構成とスノーボール構成の2つがシンプルなピックとして好まれています。
エンゲージ構成の方は、ノクターンの他にもサイオンやオーン、リサンドラ、ラカンといったエンゲージツールに、エイトロックスやアーゴット、イレリアといった集団戦で活躍しやすいダメージディーラーを組み合わせるのが今大会のトレンドです。
一方スノーボール構成も好成績を残しています。
アリスター以外のサポートが弱く、サポートジャングラーもグラガス以外まともなチャンピオンがいないので、一度ミッドのアサシンがスノーボールしたときにそれを止めることが難しくなっているのです。
具体的にはルブランやアカリを育てる方針のチームですね。
他にもボットレーンからスノーボールしていくルシアンというピックも増えてきました。
こういった構成ではジャングルには序盤からガンクできるリー・シンやシン・ジャオなどが選ばれてますね。
この2つの構成以外に、ゾーニング・カイト構成を出すという動きも準決勝では見られました。
トップのやといったタンクに対して、スウェインやビクターといった少し堅めでゾーニング出来るメイジを出して、相手に集団戦の形を取らせないというコンセプトです。
代表的なゲームを見てみましょう。
FNC vs EDGのgame2の試合時間14:40からのインファーナルドレイクを巡った集団戦を見てみましょう。まずは両チームの構成から。
EDGの構成はや、終盤はといったバックラインに飛び込むチャンピオンをとのグローバルウルトでサポートするエンゲージ寄りの構成です。
一方FNCはすべてがゾーニングスキルを持っている強烈なゾーニング構成になっています。
一度相手もゾーニングしてしまえばシヴィアは安全な位置から大きなダメージを与えることができますし、追撃やカイトのためのR戦姫の号令が機能しやすいでしょう。
さて問題の集団戦です。
(動画はこちら)
ドレイクを先に触ったEDGに対して、FNC Bwipo選手のがプレッシャーをかけにいったところから集団戦が始まりました。
は一度捕まるものの、Qのパワーブラストのシールドに加え、既に完成していたアイスボーンガントレットのお陰もあってある程度の固さがあります。
援護に駆け付けたのR氷河の裂溝とのWとRの3つのゾーニングスキルが同時に発動されて、とは完全に集団戦から切り離されてしまいました。
一方は完全にフリーでダメージが出せる状況です。
このあと裏から回り込んでいたが孤立したバックラインを破壊し、FNCは1-5でエース獲得。
そのままミッドの1stタワーの獲得にまでつなげ試合の優位を決定付けた集団戦となりました。
グループステージではこの手のゾーニング構成を選んできたチームはあまりいなかったので、新たなチーム構成の登場が残り3試合でどういったアクセントとなってくるのか楽しみです。
キーワード2:「アグレッシブに」
私とリクルートさんでWorlds開幕前に、このWorldsではパワースパイクの早いチャンピオンが評価を挙げるんじゃないか、ということを予想した対談記事をアップしました。
(解説者たちのWorlds2018メタ予測【Patch8.19】)
結果としてこの予想に近いところにメタが収束してきたのかな、というのは自画自賛が過ぎますが(トップレーンのメタは盛大に外しました)週が進むごとに全体的にパワースパイクが早いチャンピオンが好まれるようになってきました。
その傾向は特にADCのピック・勝率に表れています。
Play-Inステージで主役だったカイ=サですが、先週行われた準々決勝では勝率25%とかなり「やられた」結果となりました。
かわりに良い結果を残したのはザヤとルシアンです。
ザヤはパワースパイクが速いわけではないのですが、ミッドのアサシンをスノーボールさせる構成においては自己ピール能力が高くチーム全体のピール量が少なくても安全にプレイしやすい、エンゲージ構成に入れるならラカンとの組み合わせが強いと、2大メタ構成のどちらにもマッチするチャンピオンといえるでしょう。
一方ルシアンはいまのメタでボットレーンからスノーボールしていくことを狙える唯一のチャンピオンです。
グループステージではやや結果が芳しくありませんでしたが、よりゲームテンポが速く、そしてアグレッシブなジャングラーがピックされるようになってきた、というのが彼にとっての追い風なのでしょう。
そのアグレッシブなジャングラーの代表格がシン・ジャオです。
彼は準決勝で8試合ピックされましたが、そのうち6試合でレベル3までにガンクを行っていて、さらにそのうち4回はファーストブラッドに絡むと、まさにアグレッシブなプレイスタイルでチームに貢献しています。
が育つことで、彼は少数戦のきっかけを作るのが得意なチャンピオンということもあって、どんどんと戦闘を起こし、自分たちからリードを広げていくことが出来るわけです。
その積極的、偶発的な少数戦のなかでルシアンやアカリ、シンドラといったスノーボールが出来るレーナーたちにキルが転がり込めば、あっという間にゲームが崩壊する、そういったメタになっていることも、こういったアグレッシブなジャングラーが好まれる理由になっています。
RNG-G2のGame2なんてまさにそういった展開でしたね。
(動画はこちら)
ゲーム時間16:20~の偶発的な戦闘の中で一番キルを渡したくないアカリにキルが入ってしまったシーン。このときはRNG側でしたが。
積極的なプレイで序盤を制して、パワースパイクの早いチャンピオンたちで自分たちの得意な形に持ち込んで勝つ、というのが2つ目のキーワード、「アグレッシブに」の意味合いです。
キーワード3:「コンフォートに」
LoLの用語に「Comfort Pick」というものがあります
プレイヤーが得意とするチャンピオン、プレイしやすいチャンピオンをピックすることを指す言葉ですが、まさに本大会はこのコンフォートピックが輝いた大会と言えるでしょう。
DFMのCeros選手がEDG戦でハイマーディンガーを3連投したシーンが記憶に残ってる方も多いんじゃないでしょうか。
あの時点ではメタ外のチャンピオンだから相手が対策を取れていないことを狙ったのかな、と思いながらみていましたが、
「コンフォートピックをすることで選手のパフォーマンスを向上させることがこのメタにおいては重要だ」、というのがグループステージ以降はっきりと見えてきました。
それを世界中に知らしめたのはVIT Jiizuke選手のエコーでした。
ハイライト動画
確かにシンドラに対してエコーはカウンターですが多くの視聴者は(おそらくコーチやプレイヤーも)このメタ外のチャンピオンをWorldsの舞台で、よりにもよって去年の覇者であるGen.Gに対して出すなんで思ってもみなかったでしょう。
しかし蓋を開けてみればは大活躍、そしてADCのテレポートバックドアというEUらしい戦法による大逆転で大波乱を巻き起こしたわけです。
他にもG2 Hjarnan選手の、FNC Bwipo選手のスウェインなど、Worlds2018でのEUの躍進の裏にはこのコンフォートピックが好影響を与えているのは間違いないでしょう。
EULCSはメタ外のピックに積極的なリージョンです。世界の舞台でもFNC Rekkles選手のケネンADCなんかが有名ですよね。
Patch8.19は前述の通り、全体的なチャンピオンパワーが低いパッチになっています。
その結果、1stティアのチャンピオンと選手にとってコンフォートなメタ外チャンピオンのパワー差が小さく、そのギャップがプレイのパフォーマンス次第で十分埋まる状況だった、というわけです。
準々決勝でも、FNC Hylissang選手がサポートのトップティアであるアリスターをピックしてパフォーマンスがいまいちだったことを受けて、game3ではがオープンなのにも関わらずコンフォートなブラウムに切り替えたシーンが印象的でした。
メタに従ってピックを変えていくことよりも、選手のパフォーマンス次第では少し弱いチャンピオンでもピック候補に入れる、というEUの特徴がうまい具合に作用した結果がベスト4にEUチームが2チームも残った要因の1つだと考えています。
常日ごろから「コンフォートに」ピックしてきたリージョンが日の目をみた、ということです。
準決勝の展望
さてここからは軽く準決勝の展望について書いていこうと思います。
3つのキーワードに加え具体的なマッチアップやどんなチャンピオンがカギを握ってきそうか、といった部分にも触れながら見ていこうと思います。
Invictus Gaming vs G2 eSports
G2はEULCSの時からボットレーンが弱点と言われ続けてきました。
準々決勝のRNG戦でも(相手が世界最強ボットレーンUzi、Ming両選手相手とはいえ)毎試合苦しい展開になりながらピックを工夫してしのいで、トップ・ミッドのサイドをスノーボールさせるという作戦で勝ってきました。
準決勝でもIGとしてはG2のボットレーンに圧力をかけつつ、top/midにどれだけキャリーさせないピックを渡せるか、G2としてはその逆を行うことになりそうです。
G2は手札をこそ見せたもののヴァルスやジンといったチャンピオンをG2 Hjarnan選手が選択しつつ、G2 Wadid選手にピールが出来るサポートを渡すというドラフトを組むのはさほど難しくないので、
IG JackeyLove選手・Baolan選手の強いボットデュオがルシアンなど積極的なチャンピオンを採用して2v2のところでG2を破壊しにいけるのかといった点が見どころです。
G2 Perkz選手とIG Rookie選手の両ミッドレーナーはキャリー力が高いプレイヤーで、G2 JankosとIG Ningはどちらもアグレッシブなプレースタイルのジャングラーなので、ミッド・ジャングルの2v2で戦いが起きたときに強いピックというのも重要なファクターになりそうです。
2v2のところで強いシンドラ、に対して強くスノーボールしやすいルブランは当然B/P候補筆頭になるでしょう。
あとドラフト面ではトップレーナーがライズをつかえるかが重要そうです。
はやに対して後出し出来て、ミッドとのフレックスでドラフトを優位に進めやすい潤滑油的な存在です。
パワースパイクは遅いもののガンク合わせは序盤から強力なので、アグレッシブなジャングラーというトレンドにもマッチしてます。
G2 Wunder、IG Duke両選手は共に今大会でピックした実績があって(TheShyもレギュラーシーズン中にはピックしている)IG-G2ではこのチャンピオンをどちらが取るのかにも注目です。
Cloud9 vs Fnatic
FNCとC9は両チームともボットが強く、ミッドがキャリープレイヤーでトップはタンクとメイジ・ファイター系をバランスよくピックできると共通点が多いチームです。
少し違う点をあげるとすれば、ミッドのピック傾向でしょう。
FNC Capsは本大会でサポーティブなミッドをプレイせず、11game中近接タイプのチャンピオンがなんと8回ミッドレーナーとは思えない偏り方をしています。
唯一サポーティブ寄りなスウェインをピックした試合ではパフォーマンスがあまりよくありませんでした。
C9 Jensenはガリオ、ジリアン、グレイシャルアーリといったサポートタイプから、バリバリのキャリータイプのルブランまで幅広くこなしています。
これはFNC Broxahがガンクタイプのチャンピオンを多くピックしているのに対して、
C9 SvenskerenがLV6ジャングラーのノクターンやタリヤ、グレイブスなどディーラータイプのチャンプをピックしているところにも表れていると言えるでしょう。
個人的にはFNC-C9ではjgのピックに注目。
準々決勝で主役になったアグレッシブなジャングラーシン・ジャオ、それに対抗できそうなリー・シン。
C9 Svenskeren、FNC Broxah2選手ともこの2チャンプを得意としているので、この2体以外にほぼBANされそうな、そしてそれらを片方BANされたときにどのようなピックをしてくるのかが注目です。
FNC Broxah選手のエリスは、前回のピックではLv1でこけてゲームに参加できませんでした。
が、に対抗できるポテンシャルはあるとおもうので、が消された場合、もう1度登板機会があるかもしれません。
C9はミッドのFNC Caps選手に対してBANを割いてくることが予想されるので、FNCとしてはサイドレーンで勝ちに行くプランも考えてきそうです。
そうなったとき、FNC Bwipo選手のスウェイン、Hylissang選手のブラウムとFNCの強力なコンフォートピックに対してC9が解答を用意できているのかも見どころのひとつでしょう。
トップのC9 Licorice選手はヘカリムやシンジド、クレッドなどメタ外のチャンピオンも使いこなすプレイヤーなので、彼の隠し玉にも注目です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
準決勝の展望に関してはあえて勝敗予想は載せませんでした。
競った内容になりそう、というのもありますが、私個人が純粋に楽しみたい気持ちからです。
どちらかが勝つって書いてしまうとフラットな気持ちで見られなくなってしまいますからね。
それくらい今年のWorldsは本当に、面白いです。
さて、またメタ解説に終始してしまいました。
観戦記みたいな内容の方が需要があるのかもしれませんが、今年はスケジュールが詰まっていることもあってテーマはみつけるもののなかなか煮詰めきれないままここまで来てしまいました。
Worlds終了後、印象に残ったゲームの解説記事なんかも書いてみたいですね。
面白かったらシェア等お願いします。次の記事のリリース日が早まる可能性があがります。
written by